芸能考房

約半数が本人提供の未発表写真集

往年の名歌手・ちあきなおみの映像が22日に初めて商品化される。80曲収録のCD5枚や約半数が本人提供の未発表写真集とともに、特典として「紅い花」のライブ映像がDVD化されているという(「日刊スポーツ」2008年10月14日付)。

今年は歌手デビュー40周年になる。ザ・ピーナッツ以来、大物歌手は引退に際して1年ほど「引退興行」を全国で行い、ファンに最後の姿を見せながら、事務所や関係者を儲けさせる「お返し」をする。だが、彼女はそれを行わなかった。夫の郷えい治さんが亡くなると、「自主休業」によって芸能界を離れて16年になる。

全盛時から欲のない彼女は、芸能界の大御所という立場ではなかった。が、その実力を評価する熱心なファンによってこんにち伝説化され、待望論が根強い。

彼女に対する論評は様々なものがサイトなどでも見られるが、私はやはり、『喝采』(1972年)のイメージが強い。それまでは、『四つのお願い』『X+Y=LOVE』など、ユニークな歌を歌いこなせるちょっとお色気のある歌手、という程度のイメージしかなかった私が、『喝采』で涙を流しながら自分の心情をさらけ出すように歌う姿に、当時小学生ながら釘付けになった。

『喝采』の歌詞は、亡くなった婚約者を思い出すので、できれば歌いたくない、でも彼のことも忘れたくない。彼女には、実生活におけるそんな極限の葛藤があったと記憶している。その年の秋のリリースでありながら、レコード大賞に輝いたのも頷けた。

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