本人は容疑を認める
調べによると、加勢は4日夜、世田谷区の自宅で覚醒剤2袋3グラム(末端価格18万円)と乾燥大麻9・4グラム(同5万円)を所持していた。大麻を吸うためのパイプと覚醒剤を使うための注射器が押収されたほか、尿からは覚醒剤の陽性反応が出た。加勢の自宅では大麻25株が栽培されており、同課などは大麻取締法違反(栽培)などの疑いでも調べている。
『平成の芸能裁判大全』(鹿砦社)によると、話は91年に遡る。当時、人気絶頂期にあった加勢大周が独立を宣言された所属事務所のインターフェイスプロジェクトが、「勝手に芸名を使って活動してほしくない」などとする訴訟を8月1日、東京地裁に起した。もともと「加勢大周」の芸名は、同社の代表が「勝海舟」の語感から考え、さらに「勢いを加える」という思いも込めたと言われている。
事務所側の言い分は、90年6月に専属契約を結び、91年3月には契約を1年間更新することで合意していた。にもかかわらず加勢の側が、91年の5月に新しい事務所「フラッププロモーション」を作って独自に芸能活動をした、というものだった。
一方、加勢側は、91年2月には契約更新に応じないと伝え、4月には契約解除を通知。ゆえに専属契約は無効になっていると反論した。さらに、「芸名使用許諾権は、権利として確立されていない」としていた。
92年3月30日、東京地裁はまず旧事務所側が勝訴した。宮崎公男裁判長は判決理由で、「加勢大周」の芸名は原告のインターフェイスプロジェクトが考案し、商標として登録していることを指摘。「芸名などは独立した経済的利益や価値を持ち、排他的に支配する財産的権利に当たり、この芸名を勝手に使うことはできない」と述べた。(「朝日新聞」92年3月30日付東京夕刊)
加勢側は92年4月6日には判決を不服として東京高裁に控訴。旧事務所側も4日に判決実行の仮処分を申請した。4月30日には、東京地裁による判決の一部にある「"加勢大周"も、原告によって商標登録がされている」は、事実誤認の疑いが明らかになる。商標登録は通常審査に2年5カ月かかるため、旧事務所側が商標登録を申請したのが91年5月なら、この時点ではまだ登録されていないことになるからだ。加勢側の代理人である弘中惇一郎弁護士は、「登録済み」認定の撤回を求めるとともに、「4月1日から受け付けが始まった商標登録とは別のサービスマーク制度を活用して、芸名"加勢大周"をサービスマークとして登録申請しています」とコメントする。(「日刊スポーツ」92年5月1日付)
7日には旧事務所側による判決の実行を求める仮処分申請が取り下げられ、加勢側も仮処分申請に対抗して出していた加勢本人の「仮の地位を定める」仮処分申請を同様に取り下げる。(「日刊スポーツ」92年5月9日付)
こうした経過の末、この訴訟は結局加勢側に軍配が上がった。93年6月30日、控訴審である東京高裁は芸名使用禁止などを命じた一審判決を取り消し、請求を棄却する判決を言い渡した。判決文によれば、山下薫裁判長は、「(一審判決後の)昨年五月末に専属契約が切れた」から、「主張の前提となる契約が切れた以上、芸名使用禁止などの請求は認められない」とした。(「朝日新聞」93年7月1日付)
これでも納得しなかった旧事務所側は、今度は新人タレントに「新・加勢大周」を名乗らせてデビューさせた。「新」は肉体美を誇示する以外、とくに特徴のないタレントだったが、こうした泥仕合によって、新「旧」双方の「加勢大周」とも共倒れのようにスター街道から外れてしまった。
だが、"元祖"は意外なところからいったんは息を吹き返した。97年に台湾のテレビ局から連続ドラマ出演のオファーがあったのである。人気女優・白冰冰の半生を描いたドラマ「菅芒花的春天」で、白の元夫・梶原一騎役を演じて"台湾のスター"として一躍、注目されるようになった。これによって俳優としての価値を高めた加勢は、台湾と日本を往復しながら、テレビドラマやVシネマなど日本での仕事を増やし始めた。
ところが、今度は金銭トラブルが起こる。「フラップ・プロモーション」の元社長が、現社長である加勢の実母に、顧問料の一部として一千万円の支払いを求める調停申立書を東京簡易裁判所に提出したというのだ。
「事務所売上の二十%を毎年度、顧問料として受け取る契約を交わし、平成三年九月と翌年四月に計五千三百万円を受け取ったが、それ以降は支払われておらず、平成三年五月から約三年間に七千六百万円の未納分がある。いきなり全額は無理だろうから、まず一千万円を請求したい。誠意ある対応がない場合は訴訟を起こす」(元社長)と主張し、十一月十九日に調停を申し出た。加勢の母親である川本美和子は、「売上の20%もの大金を支払う契約などしていない。弁護士からも問題はないといわれている」と反発した。(「ZAKZAK」97年12月1日更新)
事の真偽がどうあれ、せっかく息を吹き返しつつある大切な時期にこうしたトラブルが報じられること自体、加勢本人にとって決してプラスにはならない。
私生活でも同じようなことがくり返された。加勢は99年6月に知人の紹介で出会ったとされる女性と、2002年2月22日午後2時22分の"2並び入籍"をして、芸能マスコミには久々に華のある報道をしてもらった。ところが、その直後の6月には、加勢が交際していた元同級生に4歳の女児がいると女性誌が報じた。告発者が第三者で泥仕合にもならなかったが、それが「端を発したのは否定できない」(加勢)夫婦間の溝を生み、結局12月22日には離婚している(「スポニチアネックス」2002年2月1日更新)。こうしたことで、ますます「トラブルの絶えないタレント」というレッテルに信憑性が付加されてしまった。
加勢大周のトラブルについては、『平成の芸能裁判大全』(鹿砦社)に詳しい。
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