『あなたのすべて』は、桜田淳子18枚目のシングルである。オリコンは6位につけた。この歌がリリースされた1ヶ月後、「花の中三トリオ」は「三人娘 涙の卒業式」を開催した。最初で最後ともいえる三者の大掛かりなイベントだったが、ビデオソフト化などがままならなかったのは、ファンにとっては残念なことだった。
『あなたのすべて』は、和泉常寛が初めて作曲した作品である。はしだのりひこと行動を共にして歌手活動を経験したほか、作曲家・アレンジャーとして活動している。70年代以降、いろいろな歌手の作曲を手がけている。
編曲は船山基紀。『気まぐれヴィーナス』(1977.5.15)、『もう戻れない』(1977.9.5)、『しあわせ芝居』(1977.11.5)、『追いかけてヨコハマ』(1978.2.25)、『20才になれば』(1978.9.5)、『玉ねぎむいたら』(1981.5.1)など桜田淳子の中・後期の作品のほか、『横須賀ストーリー』(1976.6.21)、『パールカラーにゆれて』(1976.09.21)など山口百恵の作品も手がけている。
『あなたのすべて』(1977.2.25)
あなたのすべて/女らしく
作詞者 阿久悠
作曲・編曲者 和泉常寛(編曲:船山基紀)
ビクター音楽産業
「花の中三トリオ」として売り出された森昌子・桜田淳子・山口百恵も、この年の3月で高校を卒業することになった。つまり学年を冠したトリオは“解散”となる。
そこで、77年3月27日には日本武道館で卒業コンサート「三人娘 涙の卒業式」が行われた。同級生の友人やライバルとして切磋琢磨してきたスタ誕三人娘が、最後に『明日に架ける橋』を歌ったシーンはYOUTUBEに公開されている。
この頃は『スター誕生!』からも卒業生が多数デビューしており、「スタ誕三人娘」という呼び方も役割を終えていた。
「トリオ」というのなら、こうした催しはもっと頻繁に行われても良いはずだが、3名とも所属事務所やレコード会社が統一されているわけではなく、路線も異なり、やはりアイドルとしてはライバルであることなどから、行われたことがなかった。
当日来られなかった人たちのために、コンサートの模様は77年3月31日に『木曜スペシャル』(NTV)で放送され、さらに11月には東宝映画『昌子・淳子・百恵 涙の卒業式 出発(たびだち)』として公開された。2014年2月9日には日本映画専門チャンネルでも放送される。
が、権利関係等の難しさから、いまだにビデオ化もDVD化もされていない。
09年にやっと無料上映会が開催されたが、あまりにも時間が経ちすぎたのではないだろうか。
夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫)
- 作者: 阿久 悠
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/12/06
- メディア: 文庫
コメント