『サンタモニカの風』を歌い『病院坂の首縊りの家』出演の桜田淳子

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『サンタモニカの風』は桜田淳子26枚目のシングルである。例の「来て、来て」のりフレインと、桜田淳子特有の鼻にかかった「サンタムォーニカー」がモノマネされるヒットとなった。桜田淳子の歌はなんパターンかあるが、やはりこうした明るく歌詞を繰り返す歌いやすい歌がヒットする。春には久々に映画、市川崑監督作品『病院坂の首縊りの家』に出演した。

数字として残るセールス(12.3万枚)以上に人々の記憶に残っている歌である。『第30回NHK紅白歌合戦』でも歌われた。編曲を担当している荻田光雄が作曲も行っている。春やすこ・けいこの漫才のネタにされたり、ナショナルエアコンのCMに使われたりもした。山一證券のCMといい、やはり桜田淳子らしい歌はリフレインが必要なのである。

作詞は阿久悠。桜田淳子の歌で、阿久悠作品はすべてがヒットしているわけではない。ましてや『スター誕生!』の申し子ともいえる彼女をどう育てていくかを考えなければならない阿久悠とすれば、この頃は一作一作が試行錯誤だったのかもしれない。

その結果、今回はやや初心に帰ったような歌になったのではないだろうか。

『サンタモニカの風』(1979.2.25)

サンタモニカの風
サンタモニカの風/昼さがりのエレジー
作詞者 阿久悠
作曲・編曲者 荻田光雄(編曲も)
ビクター音楽産業

前年の『愛の嵐の中で』以来、映画出演のなかった桜田淳子が1年ぶりに銀幕に登場したのは『病院坂の首縊りの家』である。

おどろおどろしいタイトルは当然である。金田一耕助探偵が出てくる横溝正史の同名の長編推理小説を原作としているのだ。監督は、翌年山口百恵のファイナル映画『古都』を撮った市川崑。

ストーリーは、病院坂の首縊りの家と呼ばれる明治から終戦直前まで繁栄した病院跡の廃屋で、例のごとく連続殺人事件が起こる。

金田一耕助がそれを解決する石坂浩二“金田一”シリーズの5作目にあたるものだ。市川崑は06年に石坂主演で『犬神家の一族』を撮ったが、この当時は、これが石坂金田一の集大成だと思われていた。桜田淳子は病院の子孫にあたる娘で、きわめて重要な役どころである。

もはや、歌手が顔見せで出てくるのではなく、一女優としての仕事である。

森昌子が歌を中心に活躍し、山口百恵が主演作品で自分の世界を表現することに専念したのに比べて、桜田淳子の出演作品はジャンルも多岐にわたり、また必ずしも主役ではなかった。

役者は素材、どう磨かれるかを楽しもう、という本来ある女優の矜持をもって彼女は実績を積み重ねたことが、80年代に歌手から女優へのシフトをスムーズに行えた背景にはあるだろう。

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