『ちっぽけな感傷』から「赤い迷路」出演へー重い役を演じた山口百恵

『ちっぽけな感傷』は、山口百恵の6枚目のリリースである。レコードジャケットは、部活か体育の授業におけるバレーボールの趣だ。ドラマ『顔で笑って』のキャラクターそのままである。こう言っては何だが、このジャケットからは、後の宇崎竜童・阿木耀子路線の山口百恵はルックスから言っても想像だにできない。

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「カワイ子ちゃんがざわめく予選会の会場で、一人だけ雰囲気が違う子がいた。ジーパンにオーバーブラウスという地味な服装だったが、その表情には、やさしさや悲哀といった、日本人に受ける独特の雰囲気を感じた。最初16、17に見えたがあとで聞いたら13歳。その存在感に二重丸をつけた」(当時の番組プロデューサー・池田文雄)。

この時期、山口百恵の「陰」はしっかりと芸能界でのポジションを確保した。

『ちっぽけな感傷』(1974.09.01)

ちっぽけな感傷
ちっぽけな感傷/清潔な恋
作詞者 A面:千家和也(原案:川緑浩幸) B面:千家和也
作曲・編曲者 A面:馬飼野康二(編曲も) 作曲:馬飼野康二(編曲:あかのたちお)
CBS・ソニー

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6枚目のシングルも『ひと夏の経験』同様、オリコン週間3位、年間でも第20位につけた。彼女の生涯セールスからすれば大ヒットではないかもしれないが、この時期、決して悪い出来ではないだろう。

この曲は、当時しばしばあった企画だが、『明星』で募集された詞の原案をもとに千家和也が作詞。馬飼野康二が作曲した。

詞を公募されたということは、彼女の芸能人としてのブランディングができあがったとみなされたことにほかならない。

リリースの1ヶ月後には、大映ドラマ『赤い迷路』がスタートした。記念すべき「赤い」シリーズの第1弾である。

山口百恵は、精神科の大学教授(宇津井健)の娘役だった。もっとも、実の父娘ではない。宇津井の妻(小山明子)がラブ・ホテルで変死したことから、山口百恵演じる娘は自分の出生の秘密を知り、父娘は人間心理の複雑さ、奇怪さに翻弄されるというストーリーである。

前回の『顔で笑って』で演じた娘も大変だったが、実の娘であったし、ママハハというのはよくある設定である。今回のほうがずっと不幸な設定であり、また何とも重い話である。

山口百恵の芸能生活の前半は、「青い性」の歌、「赤い」シリーズの複雑な生い立ちや突然の悲劇を経験する少女、そして後に始まる文芸映画、といったパターンだった。

それを、当時の中学から高校に進学した少女に担わせたのだから、考えてみたらすごい話である。

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