『今日も笑顔でこんにちは』は森昌子初めての着物姿披露ジャケット

『今日も笑顔でこんにちは』は、森昌子の9枚目のシングルになる。公共機関のコマーシャルや広告のキャッチコピーに出てきそうなタイトルである。ジャケットを見ると、A面には「森昌子のニッポン音頭」、B面が「マコの日記より」という副題が付いている。「ニッポン音頭」とはまたずいぶん大きく出たものである。

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A面は、合いの手や手拍子を入れて、あまり難しく考えずすがすがしく歌いましょうというもの。「夢」「元気」「粋」という言葉は出てくるが、「愛」や「恋」、「遠い」「切ない」「苦しい」といった言葉は一切出てこない。

B面は、いつもの片恋の歌である。愛という字がむずかしい、過ぎた時間を後悔しても取り戻せないといった悩ましい心境を歌っている。

森昌子のうたうコンセプトから見て、どちらかといえばA面のほうがイレギュラーな感じがする。

「花の中三トリオ」「スタ誕三人娘」もこういう歌をうたうところまできたわけだ。

ジャケットには、紅い浴衣を着た森昌子が、左手で右袖を持ち、右手で風鈴のようなものをもっている。

思えば、これまで8枚のリリースで森昌子は、青春歌謡や抒情詩路線であることから、少女としての服ばかりで着物姿がなかった。

今回は浴衣ではあるが、長襦袢こそ着ないものの、着付けが必要な着物である。

つまり、初めて森昌子にとっては洋服以外の、初めての着物姿のジャケットになる。それまでは10代の娘だった森昌子が、演歌歌手としての風情を少しだけ披露しているわけである。

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youtubeでは、長襦袢の必要な着物を着た演歌歌手である現在の森昌子が、イキイキとした表情でこの歌を歌っている。学園モノを離れた「みんなが口ずさめる楽しい歌」として、これもまた名曲の一つではないだろうか。

『今日も笑顔でこんにちは』(1974.7.1)

今日も笑顔でこんにちは
今日も笑顔でこんにちは/愛は遠い
森昌子 ミノルフォンオーケストラ
作詞者:藤田まさと
作曲・編曲者 A面:新井利昌(編曲:高田弘) B面:新井利昌(編曲:斉藤恒夫)
ミノルフォン

ここに来て、作家陣は阿久悠、遠藤実という、普段はないゴールデンコンビを離れている。

作詞の藤田まさとは、昭和と共に作詞活動を行ってきた、すでにこの時点で大御所と呼ばれる存在である。

詞を提供した歌手は渡辺光子、東海林太郎、新橋喜代三、上原敏、高田浩吉、田端義夫、菊池章子、三波春夫、森進一、鶴田浩二、五木ひろし、美空ひばり……。歌謡史の本に出てくるような伝説の人々が並ぶが、わずか16歳の昌子がその仲間入りをしたのだから、これは考えてみればすごい話である。

藤田まさとはこの歌を作った10年後には、『浪花節だよ人生は』というヒット曲を送り出している。 

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