『女囚さそり 701号怨み節』(1973年、東映)は、梶芽衣子主演による女囚さそりシリーズ第4弾であり、1974年のお正月封切映画

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『女囚さそり 701号怨み節』(1973年、東映)は、梶芽衣子主演による女囚さそりシリーズ第4弾であり、1974年のお正月封切映画

『女囚さそり 701号怨み節』(1973年、東映)は、梶芽衣子主演による女囚さそりシリーズ第4弾であり、1974年のお正月封切映画だった。映画とともに、梶芽衣子が歌った主題歌『恨み節』も大ヒット。その後はテレビにも進出しドラマでも活躍した。

梶芽衣子といえば、女囚さそりシリーズを思い出さない訳にはいかない。

当時のインタビューでは、作品に対する意気込みが語られていた。

そして、作品のヒットとともに、テレビドラマにも進出。『寺内貫太郎一家』など数々の作品に出演した。

さそりシリーズを語る梶芽衣子

『東京スポーツ』(2015年9月29日付)より

『東京スポーツ』(2015年9月29日付)より


梶芽衣子が登場した、『東京スポーツ』(2015年9月29日付)のインタビュー記事をご紹介しよう。

といっても、現在ではなく、1972年8月17日、当時25歳の頃の再録である。女優生活の始まりである日活を退社し、東映に入ったばかりの頃である。長い髪と大きな瞳の顔写真もしっかり掲載されている。

インタビュー当時の、梶芽衣子の作品といえば、『女囚701号/さそり』(1972年、東映)である。

梶芽衣子が演じたのは、松島ナミ。

冒頭から、松島ナミ、木田由紀子(渡辺やよい)の2人が脱走を試みるシーンから始まっている。

しかし、それは失敗。捕われた2人はイモ虫のように手足を縛られ、懲罰房へ入れられてしまう。

もともと松島ナミ(梶芽衣子)の収監は罠にハマったのである。麻薬取締りの刑事・杉見次雄(夏八木勲)を恋人と思っていたのに、杉見次雄(夏八木勲)は松島ナミ(梶芽衣子)を麻薬捜査の囮として使い、強姦させ、自分は麻薬を押収。その麻薬をネタに麻薬組織に寝返ったのだからひどすぎる。

そこから、女子刑務所でいろいろありながらも、松島ナミ(梶芽衣子)は結局、復讐を遂げる。

その『女囚701号/さそり』についてのインタビューが、冒頭の『東京スポーツ』(2015年9月29日付)に出ているのである。

 日活「野良猫ロックシリーズ」や東映「女囚さそりシリーズ」などで一世を風靡した女優の梶芽衣子。昭和47(1972)年8月17日、郡内でインタビューしたときに撮影した。当時25歳。
 昭和40年、日活に入社し、約60本出演した後、同46年に退社。取材時は東映に入社したばかりで、シリーズ第1作の「女囚701号/さそり」がクランクアップして公開を間近に控えていた。
 自分を裏切った男への復讐に執念を燃やす女囚・松島ナミを熱演。「とにかくこれまでの東映の作品とは全然違うんです。感性が素晴らしく粋。女の子(女囚)が全裸になって行進しても、ポルノなんて感じしないんです」
 この作品で監督デビューした伊藤俊也監督の斬新で迫力のある映像、演出も注目された。
「この作品は迫力が命でしょう。ちょっと踏み外すとエログロになっちゃう題材なんだけど実に見事にまとまっているんです」「監督は東大の美学出身(文学部美学科卒)なのね。だからヌードがわんさか出てきても、全部美学になっている」
 梶が歌った主題歌「恨み節」とともに映画は大ヒットして計4作、製作された。
 その後は東映「仁義なき戦い 広島死闘篇」(昭和48年)、「修羅雪姫シリーズ」(同48、49年)、ブルーリボン賞の主演女優質などを受賞した「曽根崎心中」(同53年)など数々の映画やドラマで活躍していった。

東映には、藤純子(富司純子)の後釜として誘われたのだが、藤純子(富司純子)の任侠モノとは違う自分の世界を作ることが出来たわけである。

『女囚さそり 701号怨み節』(1973年、東映)


『女囚さそり 701号怨み節』(1973年、東映)は、1974年の正月映画だった。

正月は各社ともドル箱作品を上映する。

「さそり」シリーズは東映のドル箱だったことの証左。

本作は“元祖”である梶芽衣子の主演4作目である。

ただし、ストーリーは、刑務所内での陰惨なリンチや陵辱など凄惨なシーンがあり、暗い設定のはずだが、リアリティがない(笑)

それゆえ、凄惨でもクスッと笑える娯楽映画として観ることができる。

警部(細川俊之)が、結婚式場で身を潜めて働いていた松島ナミ(梶芽衣子)を、第一級殺人と脱走罪で逮捕するところから始まる。

ナミ(梶芽衣子)は、護送から再び脱走。

ヌード劇場の便所に逃げ込むが、そこで舞台照明の仕事をしている工藤(田村正和)に匿われる。

工藤(田村正和)は、かつて過激派で、警部(細川俊之)に拷問の取り調べを受けたことがある。

つまり、2人とって、警部(細川俊之)は共通の敵ということ。

ナミ(梶芽衣子)と工藤(田村正和)は、警部(細川俊之)の自宅で妻(金井由美)を人質にとってたたかおうとするが、妻は逃げようとして窓から転落死。

警部(細川俊之)は、いよいよ憎悪をつのらせる。

2人は逃げるが、工藤(田村正和)は警部(細川俊之)に捉えられ、またしても拷問。

それでも工藤(田村正和)は、ナミ(梶芽衣子)の居場所はうたわなかったが、警部(細川俊之)は工藤の母親(初井言栄)まで連れて来て説得。

工藤(田村正和)は、遂にナミ(梶芽衣子)の居所をうたってしまう。

捕まったナミ(梶芽衣子)は、女子刑務所で独房に入れられ、さらに警部(細川俊之)らにリンチを受ける。

警察のリンチもあり得ないが、そもそも裁判もしないで、いきなり死刑囚というところがすごい

しかも、女子刑務所の処刑台は、露天に設置されている。

女子刑務所の処刑台は、露天に設置されている

開放的ではないか(笑)

警部(細川俊之)は、普通の処刑ではつまらないからと、部下に看守長を強姦させ、「このことをバラされたくなかったら」と脅し、ナミ(梶芽衣子)を脱走させる手引をさせます。

そして、ナミ(梶芽衣子)を自分の手作りの粗末な処刑台(笑)にいざない処刑しようとするが、ナミ(梶芽衣子)に逆襲され、自分がそこで首をつってしまうというマヌケな展開に。

そして、シャバに戻ったナミ(梶芽衣子)は、自分を裏切った工藤(田村正和)を刺して仕返し。

「あんたを刺したんじゃない。あんたに惚れた松島ナミを刺したんだ」と、ナミの意味不明な独白で終わる。

どんなに壮絶なシーンが繰り返されても、梶芽衣子はいつも綺麗な黒髪で、顔も傷一つない。

フィクションである以上、それに徹しようということなのだろう。

寺内貫太郎一家では長女役で出演

テレビでは、『寺内貫太郎一家』(1974年1月16日~1974年10月9日、TBS)の、しーちゃんこと寺内静江のイメージが強い。

舞台となった寺内石材店、寺内貫太郎(小林亜星)と里子(加藤治子)の長女である。

23歳で、4歳の頃の怪我がもとで左足を引きずっている。

それが、墓石につぶられたものなので、寺内貫太郎は心のなかで負い目を感じている。

ちなみに、弟は周平。西城秀樹が演じた。

ドラマでは、大学受験をしくじり、寺内貫太郎にはいつも部屋でぶん投げられ、リアル骨折する大変な役である。

静江は、家事手伝いで家にいたが、両親に隠していることがあった。

上条裕也(藤竜也)と交際していることを秘密にしていた。

歳が少し離れていることと、バツイチで小さな子供がいたからである。

しかも、上条と別れた元妻(吉行和子)との離婚原因は嫁姑の諍いで、姑が亡くなったため、元妻は未練タラタラというややこしい関係なのである。

それでいて、子供が遊びに来ると、子供に罪はないから、一応不器用ながらも愛想を振りまいて相手をする貫太郎。

しかし、あることで喧嘩になり、静江は家を出て、上条裕也の家で暮らすことになった。

案の定と言うか、籍もちゃんとしないうちに、妊娠してしまった。

後半は、寺内貫太郎と小さいときに生き別れになった腹違いの弟、寺内貫次郎(谷啓)がレギュラー入りするため、相対的に出番が減るが、梶芽衣子の役柄が重要なところであるのにかわりはない。

にもかかわらず、パート2の出演はなく、その後に放送された『新・寺内貫太郎一家』(1991年11月25日)では、静江役はいしだあゆみにチェンジしていた。

どうしてなのかはわからないが、できれば出演し続けてほしかったものである。

以上、『女囚さそり 701号怨み節』(1973年、東映)は、梶芽衣子主演による女囚さそりシリーズ第4弾であり、1974年のお正月封切映画、でした。

梶芽衣子、恨み節も修羅雪姫も女囚さそりも語る

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