『乙女座宮』で「赤い」シリーズの垢落としをした山口百恵

『乙女座宮』は山口百恵21枚目のシングル。タイトル通り、星座が歌詞に並ぶ乙女のバラードといった趣の歌である。かねてから卒業を希望していた「赤い」シリーズは『赤い絆』も終わり、いよいよ新しい路線に舵を切る彼女にとって、最後のアイドルらしい歌と言ってもいいだろう。

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『乙女座宮』はタイトルの通り、蟹座、獅子座、牡牛座、山羊座など、星座占いでお馴染みの文言が並ぶ。相手を思う気持ちを星座占いで表現している歌である。山口百恵の後半の歌手生活を支えた阿木燿子&宇崎竜童コンビが提供している。この2人だからといって、いつも横須賀ツッパリとは限らない。

「銀河大陸横断鉄道」などの文言もあるところから、SFラブバラードと表現するムキもある。

ただ、セールスは30万枚を超したが、オリコンは最高位が4位だった。この時期は競争の厳しい群雄割拠の時期だったのだろう。

最近の、ジャニーズやAKB48のように、リリースしたものはすぐに1位に踊り出るのが当たり前、という光景から比べると、「花の中三トリオ」でありながら1位はあまりなく、ときにはベストテン漏れもあるのは数字的に物足りないかもしれない。

しかし、あまた存在する歌手が各事務所とレコード会社によるプロジェクトで勝負を挑むわけだから、この当時の方が自然な結果であるように思う。それだけ市場が今よりも活況を呈していたということではないだろうか。

『乙女座宮』(1978.02.01)

乙女座宮
乙女座宮/視線上のアリア
作詞者 阿木燿子
作曲・編曲者 宇崎竜童(編曲:萩田光雄)
CBS・ソニー

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阿木燿子&宇崎竜童コンビは山口百恵に対し、ロック調の横須賀脱アイドル路線を基本としながらも、ときおり国民的歌手のようなオーソドックスな歌や、この歌のように未成年アイドルでも歌うような作品も提供している。

この歌など、後にカヴァーした仁藤優子が、オリジナルといってしまってもおかしくないと思えるほどだ。

今さら山口百恵に乙女のバラードを歌わせる動機はわからないが、山口百恵のフィールドを広げると共に、「赤い」シリーズの垢落としのような意味合いも含まれていたのではないだろうか。「赤い」を卒業して新しい路線に進むための区切りという意味があるようにも思われる。

ドラマのシナリオでも、重いシーンの後に、クスッと笑えるシーンを入れるという場合はある。重い歌、重い役だけでなく、箸休めのようなものも必要である。

そして、この次には、「プレイバック!」のリフレインでお馴染みのあの曲で、再びロック調の横須賀脱アイドルを歌うのである。

隔週刊 山口百恵「赤いシリーズ」DVDマガジン 2014年 3/11号 [分冊百科]

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/25
  • メディア: 雑誌

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