『泣かないわ』に見せた桜田淳子の「幼稚、生硬、懸命」

『泣かないわ』は桜田淳子14枚目のシングルである。タイトルはどちらかというと桜田淳子の歌としてはイメージ的にめずらしいものだが、歌の中身は恋愛がテーマでビート感のある長調4拍子といういつものパターンである。ジャケットは、髪が肩まで伸びた桜田淳子が、ちょっとすねたような不安なような表情で手を合わせている。「花の中三トリオ」でデビューした桜田淳子も、このときは18歳を迎える大人の女性直前といっていいだろう。

この歌は、オリコン4位、21.6万枚の売り上げを叩きだした。これは彼女のリリースした38枚の中でも10位に入る成績である。

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『泣かないわ』(1976.2.25)

泣かないわ
泣かないわ/あなたの接吻にはトゲがある
作詞者 阿久悠
作曲・編曲者 森田公一(編曲:荻田光雄)
ビクター音楽産業

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悲しそうなタイトルは、雨の日の失意の歌だからである。しかし、しょんぼりしているところではなく、明日の回復を求めて雨で失意を洗い流すという前向きな歌詞になっている。

それもたんなるがんばろうではなく、「明日は元気に」といいながら「だけど今はだめよ」と落ち込み、そこからまた気を取り直して「いいわ ぬれたって」とまた顔を上げる、という微妙な心理がリアルに描かれていることがファンには好評だったようだ。切ないけれど最後には元気になれる歌である。

もちろん、そこに感情移入させるのは歌い手が桜田淳子だからである。

「幼稚も生硬も、ひたむきな懸命さ、あるいは、視野を狭くしてしまうほどの強力な思い込みがすべていい形に表現されて、光るという実に抽象的な条件を、具体的だと思わせてしまう自己主張を備えていた」と淳子のことを褒めちぎっていたのは、彼女の一連の歌を作詞してきた阿久悠である(『夢を食った男たち』)。

桜田淳子が口をはっきりと開けて正面を見て、滑舌よく懸命に歌う姿にはそうした「幼稚、生硬、懸命」といったことがしっかり表現されている。

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