『夏ひらく青春』を歌い『花の高2トリオ・初恋時代』出演へ

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『夏ひらく青春』は、山口百恵9枚目のシングルである。タイトルは開放的なイメージで、山口百恵らしくない感じがするが、中身も歌詞に「めくるめく」という言葉が入るなど、彼女のそれまでの傾向としてはめずらしくアップテンポな作品だった。ジャケットも、山口百恵自身が正面を見て笑っているオーソドックスな一葉である。

『夏ひらく青春』は、およそ30万枚を売り上げ、オリコンの順位最高位は4位。2回目の出場にあたる同年暮れの『第26回NHK紅白歌合戦』で歌われた。

売れたというだけでなく、山口百恵も好んだ歌だったのだろう。本来彼女は、どこか暗い「青い性」路線よりは、こうしたアップテンポの楽曲を歌いたかったのではないかと思われる。

作詞・作曲はもちろん千家和也・都倉俊一のコンビである。なかでも千家和也は、いろいろな歌手に詞を提供しているが山口百恵が最も多い。

デビューシングルの『としごろ』に始まり『赤い衝撃』まで、彼女の歌手生活前半の15曲のうち14曲を提供している。作曲の都倉俊一もデビュー曲から10枚目までを担当。

一方、後半は作詞が阿木耀子、作曲は宇崎竜堂のコンビがほとんどを提供している。

『夏ひらく青春』(1975.6.10)

夏ひらく青春/愛がひとつあれば
作詞者 千家和也
作曲・編曲者 A面:都倉俊一(編曲:穂口雄右)B面:都倉俊一(編曲:馬飼野康二)
CBS・ソニー

『夏ひらく青春』リリース2ヶ月後のお盆配給映画では、恒例になっていた山口百恵をヒロインとする東宝の文芸路線は1回休み。森昌子・桜田淳子・山口百恵の3人が出演する『花の高2トリオ・初恋時代』に出演した。

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1人ヒロインよりは3人ヒロインの方が3倍プラスアルファの興収を見込める、といったところだろうか。

「花の中三トリオ」「スタ誕三人娘」も、いよいよそのユニットで主演映画を撮れるほどになったのである。

同格の芸能人3人が共演すると序列でもめそうだが、森昌子が1年先輩であるし、彼女とともに桜田淳子と山口百恵はキャラクターも路線も違うので、そのような問題はなさそうである。

ストーリーは、夏休みを利用して東京へやって来た、それぞれ別の地方に住む高校2年生女の子3人の青春物語だ。

山口百恵にとっては、初めて現代に生きる若者を活写した映画となった。制作にホリ・プロの堀威夫とサン・ミュージックの相沢秀禎が名を連ねている。

まさに高2トリオのために所属の両事務所がバックアップした作品である。

山口百恵にとっては、この高2の夏は、歌にしろ映画にしろ、今までと違う仕事ができたことで、新鮮な気持ちになれたのではないだろうか。

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