『春風のいたずら』で「花の中三トリオ」から「高一トリオ」へ

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『春風のいたずら』は、山口百恵4枚目のリリースである。オリコンは11位だった。爆発的ヒットというわけではないが、前の『禁じられた遊び』(12位)とほぼ同じ順位で、16.1万枚を売り上げている。デビュー曲の不振を考えると、セールスもずいぶん安定してきたところである。後に大ブレイクするための助走期間といったところだろうか。

スタ誕三人娘は「花の中三トリオ」として売りだされ、揃って中学卒業を迎えたが、引き続き「高一トリオ」として芸能雑誌などに登場している。

山口百恵は桜田淳子と同じ私立中学だったが、高校は別のところに進んだ。自著によると、とくに仲が悪いわけではなく、むしろ周囲からは「似ている」ことを指摘されるくらい近い関係だったが、マスコミが何かと比較するのでそれ自体がうっとおしくなったのかもしれない。

スター同士で犬猿と言われながら、実は本人同士はそうでもなくてマスコミ対策で距離をおいているだけ、というケースはよくある。

その一方で、報じられていないが、共演NGなんていうこともある。

実際の人間関係とマスコミ報道は必ずしも一致しないものである。

『春風のいたずら』(1974.03.01)

春風のいたずら

春風のいたずら/雨に濡れた少女
山口百恵
作詞者:千家和也
作曲・編曲者:都倉俊一(編曲:馬飼野俊一)
CBS・ソニー

桜田淳子と森昌子が、日本テレビ系の『てんつくてん』にレギュラー出演したのは再三書いてきたが、その時期、山口百恵もドラマレギュラー初出演した。かつては『ザ・ガードマン』(TBS)が放送されていた枠、つまり大映テレビ枠の『顔で笑って』である。

宇津井健の実娘役だったが寄宿舎生活。その上、父親は恩師の病院の娘に婿養子の再婚という、デリケートな年頃にデリケートな役だった。

桜田淳子の役も、父親役の三波伸介の佃煮屋に司葉子が後妻で入る設定で、その点では同じだったがこちらはコメディのウエイトが高かったので、それによる淳子の葛藤というものがドラマの焦点にはならなかった。

一方、『顔で笑って』は、後の赤いシリーズとは違ってコメディとしての要素もあったのだが、一方では宇津井謙と山口百恵の父子関係もポイントだったため、山口百恵の葛藤の演技が重要視された。

で、結論としてドラマ初レギュラーの『顔で笑って』は好評だった。

が、最終回は、せっかく卒業生を代表して答辞を述べる大役を仰せつかりながら、都合で両親とも来れずにひとりぼっちで卒業式を迎えることを受け入れるという、例のごとく不幸をグッとのみこむ役どころだった。

何でそんなに、山口百恵に不遇な役ばかりとも思うが、それが彼女の演者としてのポジションを確立することにつながったから何が幸いするかわからない。

後に彼女が進む文芸路線の映画や、大映ドラマの「赤い」シリーズは、すべてこのパターンである。

山口百恵は、この年の秋から「赤い」シリーズが始まるが、その前にやはり大映ドラマの石立鉄男主演『事件狩り』にも2回出演。「赤い」シリーズ常連だった石立鉄男との初めて共演している。

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