『白い風よ』、セーラー服姿の桜田淳子がジャケットになった

この記事は約3分で読めます。

『白い風よ』は、桜田淳子10枚目のシングルである。が、今までと違い、この歌は急遽発売された。『水色の時』という、同年4月スタートの連続テレビ小説(大竹しのぶ主演)のイメージソングだからである。前の『ひとり歩き』から2ヶ月、次の『十七の夏』のリリース日と1ヶ月も空いていない。

当時、新曲は3~4ヶ月間隔でリリースされていたので、『白い風よ』は『ひとり歩き』と『十七の夏』の間にイレギュラーに入った臨時発売なのだが、NHK連続テレビ小説なら毎日流れる。歌手にとっては大きなチャンスであるから、3ヶ月たっていないイレギュラーであってもリリースされるのは当然である。

すでに1ヶ月後に新しい歌をリリースしてしまったら、この歌をセールスする期間が短すぎるのではないか、と心配してしまうが、さすがNHK連続テレビ小説の主題歌。それでもオリコン9位で12.9万枚(彼女がリリースした38枚中20番目)を売り上げている。

平均視聴率は40.1%、最高視聴率は46.8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)をとったとされるドラマの力とともに、この時期、いかに桜田淳子に勢いがあったか、ということがわかる。

この作品から、NHK連続テレビ小説は半年ごとに新しい作品が放送されることになった。それまでは1年の長丁場だった。むしろ放送期間は短縮されたほうが、桜田淳子にとってはよかったかもしれない。

なぜなら、1年だと逆に長すぎて飽きられてしまうかもしれないからだ。実際に、ドラマの主題歌に採用された歌手は飽きられるというジンクスもこの頃は一部で言われていた。

もっとも、日の出の勢いの桜田淳子にはどのみちあてはまらないことだったかもしれないが。

『白い風よ』(1975.5.10)

白い風よ
白い風よ/だからわたしは
作詞者 石森史郎
作曲・編曲者 桑原研郎(編曲:竜崎孝路)
ビクター音楽産業

ジャケットは、デビューの頃より髪を少しだけ伸ばした桜田淳子が、セーラー服を着て自転車に乗り笑っている。彼女のジャケットの中ではファンの間でも1、2を争うほど好評である。

「花の中三トリオ」として売りだした桜田淳子にピッタリの一葉といえる。

ジャケット目当てでレコードを買った人もいるのではないだろうか。それほどジャケットとしてはシンプルだが室が高いのだ。

それにしても、すでに娘までデビューしているベテラン女優の大竹しのぶが新人の頃、桜田淳子はすでに主題歌を任されるほど歌手の第一線で活躍していることが天下のNHKに認知されていたということになる。

現在まで現役でいれば、芸能界では重要なポジションであったかもしれないのに、ああいう形でフェードアウトしたことは本人の意志であったとしてもやはり惜しまれる。

夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫)

夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫)

  • 作者: 阿久 悠
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/12/06
  • メディア: 文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました