『パールカラーにゆれて』を歌い裁判を闘った山口百恵

『パールカラーにゆれて』は、山口百恵が前作『横須賀ストーリー』で新しい路線に道を開いた2曲目であるが、作詞の千家和也は、今作と次の『赤い衝撃』まで詞を提供した。その意味で今作は、横須賀ツッパリ路線への過渡期といえるのかもしれない。今回も連続してオリコン1位に輝いた14枚目のシングルである。

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作曲の佐瀬寿一は、山口百恵に提供するのが今回初めてである。この次の『赤い衝撃』も佐瀬寿一作である。

編曲の船山基紀は、前作の『横須賀ストーリー』も手がけているが、同じ「花の中三トリオ」でも桜田淳子との関わりのほうが深い。

『あなたのすべて』(1977.2.25) 『気まぐれヴィーナス』(1977.5.15)『もう戻れない』(1977.9.5)『しあわせ芝居』(1977.11.5) 『20才になれば』(1978.9.5) 『美しい夏』(1980.4.21) 『玉ねぎむいたら』(1981.5.1)など、桜田淳子の後期の作品をたてつづけに手がけているのだ。

『パールカラーにゆれて』(1976.09.21)

パールカラーにゆれて
パールカラーにゆれて/雨に願いを
作詞者 千家和也
作曲者 佐瀬寿一
編曲者 船山基紀
CBS・ソニー

山口百恵はこのリリースから遡ること3ヶ月前、親権者である彼女の母親の名前で、東京地方検察庁に告訴状を提出している。

『問題小説』や『女性自身』(ともに徳間書店)に、山口百恵や桜田淳子、あいざき進也、西城秀樹、野口五郎、南沙織らの実名でポルノ小説仕立てにした芸能人の関係が書き立てられた、いわゆる「芸能人交歓図裁判」である。

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山口百恵は、「大切な家族のために告訴に踏みきろう」(『蒼い時』)と決心した。

「家族のため」というところがミソである。

つまり、山口百恵にとって家族は自分を守ってくれる人ではなく、逆に自分が守るべき立場なのである。

そして、彼女は養育費も払わない父親が親権を求めたため、裁判沙汰も経験済みだった。

だから、桜田淳子が、刑事事件における被害者としては自らが不利になる不適切な優しさを見せ、「被告人(編集者)には妻子も将来もあるから刑罰を望むなんて言えない。人は人を裁けないと思います。罪を憎んで人を憎まずです」などと夢を売るアイドルらしいコメントを残したのと対照的に、山口百恵は相手弁護士の巧みな尋問にも「ここで負けてしまったら生涯屈辱感に苛まれてしまうだろう」(同)と踏ん張った。

その甲斐あって、引退直前の80年7月に、『問題小説』編集長には懲役6ヶ月、執行猶予2年、『女性自身』編集長代理に罰金15万円の判決が下るなど芸能人側の「完全勝訴」(同)となった。

「花の中三トリオ」の中でもひときわ影を感じる彼女の厳しい生き様がこんなところからもうかがえる。

蒼い時 文庫編集部 (集英社文庫 126-A)

蒼い時 文庫編集部 (集英社文庫 126-A)

  • 作者: 山口 百恵
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1981/04/20
  • メディア: 文庫

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