『花占い』を歌い「だいこんの花」に出演した桜田淳子

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『花占い』は、桜田淳子7枚目のシングルである。イントロの部分で、桜田淳子が首を左右にかしげながら花を持って「逢える、逢えない」と繰り返した歌、といえば覚えている人も多いのではないだろうか。

現在、「花占い」という語句をネットで検索して出てくるものは、花の種類(誕生花)によって性格や恋愛観を占うというもの。ただ、この歌の「花占い」は、花びらを占いたい2つの選択肢を諳んじながら1枚ずつちぎって、最後の1枚にあたる選択肢が「当たり」というルールだ。

もちろん、そこに科学的根拠はないし、そもそも今だったら「花びらをそんなことでちぎるな」というツッコミが入るかもしれない。

いずれにしても、携帯端末による「出会い系」「LINE」による“気軽な”コミュニケーションの世代ではわかりにくい話だが、少女の心理を表現するものとして、この「花占い」はその当時は使えたということだ。

何となれば、この詞は芸能雑誌の『月刊明星』で公募されたものを原案に、阿久悠がリライトしたものである。少女の恋心の歌を世間に求めると「花占い」がフィードバックされる時代だったのである。

作詞公募はこの当時、芸能雑誌を通じてしばしば行われた。作家陣だけで完結することによるマンネリ打開とともに、歌手とファンの距離を近づける試みだったのだろう。

作曲は彼女の初期のブランディングに貢献した中村泰士である。

ジャケットは、桜田淳子はもちろん実写だが花びらが絵になっている。本物の花びらでなかったのは、少女の夢想の世界という意味があったのかもしれない。

12.3万枚を売り上げ、オリコン最高順位は9位とベスト10に入った。

『花占い』(1974.8.25)

桜田淳子の「花占い」

花占い/白い貝がら
作詞者 A面:阿久悠(原案:簑島若代)B面:阿久悠
作曲・編曲者中村泰士(編曲:あかのたちお)
ビクター音楽産業

「スタ誕三人娘」「花の中三トリオ」の中では、女優としての活動が最も活発だったと思われる桜田淳子。

桜田淳子はこの歌のリリースの少し後に、テレビ朝日系のドラマ『だいこんの花』のパート4・第13回に出演している。向田邦子の脚本で、森繁久弥と竹脇無我の父子の生活を描いた名作ホームドラマだ。

お嫁さんが毎回変わるのだが、パート4のヒロインはいしだあゆみだった。このときはそれだけでなく、森繁久彌の相手役として水の江滝子も出演して話題になった。つまり人気ドラマだったのだ。

それに出演したことで、名も実績もある俳優と接点を持つことができたのは、女優として大きな糧になったことだろう。

後に桜田淳子は『男はつらいよ』にも出演するが、山口百恵のように自分が主役の、自分のために作られた作品だけでなく、桜田淳子はこうした既存の作品に出演することで、役者としての柔軟さをもにつけていく。

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