『十七の夏』を歌い唯一のトリオ主演映画に、桜田淳子

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『十七の夏』は、桜田淳子11枚目のシングルである。タイトル通り、桜田淳子にとって17歳になって間もない初夏のリリースとなる。歌は40万枚を超すセールスを記録し、オリコンチャートも2位。第17回日本レコード大賞・大衆賞も受賞したヒット曲である。

日本レコード大賞・大衆賞というのは、第11回(1969年)から第19回(1977年)まで設けられていた賞。最優秀歌唱賞と違い、大賞とは無縁の選外曲のイメージが強いが、少なくとも桜田淳子が受賞した時は決してそんなことはなかった。

たとえば、1977年の第19回日本レコード大賞は、ピンク・レディーの『ウォンテッド(指名手配)』と同点投票から、最終的に沢田研二の『勝手にしやがれ』が大賞受賞。準大賞に値した『ウォンテッド(指名手配)』には大衆賞が授与されている。

つまり、レコード大賞が頂上の賞であることはもちろんだが、それに準じる歌は、他の歌との兼ね合いやイメージ、セールスの状態などから、(最優秀)歌唱賞であったり、大衆賞であったりしたのだ。

『十七の夏』は、桜田淳子にとって『はじめての出来事』の52.7万枚に次いで2番目に売れた歌になる。後に和田彩花、W(ダブルユー)など桜田淳子の娘世代にあたる歌手たちにカヴァーされているが、桜田淳子の鼻にかかった歌声がオリジナルとして刷り込まれているので、やはりこれは桜田淳子の歌だ、と思ってしまう。

『十七の夏』(1975.6.5)

十七の夏/高原物語
作詞者 阿久悠
作曲・編曲者 森田公一(編曲:竜崎孝路)
ビクターレコード

編曲を担当した竜崎孝路は、桜田淳子のもっとも売れた『はじめての出来事』も手がけている。アップテンポな曲のアレンジが桜田淳子とは相性が良かったのかもしれない。

ペドロ&カプリシャスの初代ピアニストとして有名である。

荒木一郎の『あなたといるだけで』『西陽のあたる部屋』、石川ひとみの『右向け右』、柏原芳恵の『ハロー・グッバイ』『渚のシンデレラ』、河合奈保子の『ムーンライト・キッス』、キャンディーズの『あなたに夢中』、小泉今日子の『ひとり街角』、美空ひばりの『川の流れのように』、八代亜紀の『舟唄』『雨の慕情』など、なじみ深いたくさんの曲を世に送り出している。

桜田淳子は、この年のゴールデンウィークに『スプーン一杯の幸せ』(松竹)に出演。翌年以降も松竹で主演映画を撮っているが、この夏はお休み。山口百恵も東宝の文芸路線を1回お休みして、森昌子、桜田淳子、山口百恵の「花の中三トリオ」→「花の高2トリオ」で、『花の高2トリオ・初恋時代』に出演している。

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顔見世学芸会なんて陰口も出そうだが、「花の中三トリオ」「スタ誕三人娘」というユニットで売りだしておきながら、こうした仕事は意外と少ない。

それぞれのキャラクターも設定され、3人とも芸能生活も軌道に待ってきただけに、同級生トリオのユニットとして仕事をする機会は今後そう多くはないだろうと判断したののだろう。

主演映画をお休みさせて、制作にホリ・プロの堀威夫とサン・ミュージックの相沢秀禎が名を連ねている。

事実、これ以後の「花の中三トリオ」の主演映画は、2年後の『昌子・淳子・百恵 涙の卒業式~出発~』(東宝 1977年)という、トリオの卒業コンサートドキュメントが最後になった。

つまり、『花の高2トリオ・初恋時代』は事実上、唯一の「花の中三(高2)トリオ主演映画」だったのである。

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