『赤い衝撃』で三浦友和を男性として意識した山口百恵

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『赤い衝撃』は、説明するまでもなく山口百恵のリリース。TBS系で放送された大映テレビのドラマ『赤い衝撃』の主題歌にもなった15枚目のシングルである。彼女にとっては、歌手としての路線の転換期にあたる作品となった。そして、この頃から山口百恵は三浦友和を男性として意識したのではないかと言われている。

『赤い衝撃』は、千家和也が最後に作詞を担当した歌である。その意味では、彼女の芸能人人生にとって転換期としての作品といえるかもしれない。

すでにこの前の前の楽曲『横須賀ストーリー』で阿木燿子・宇崎竜童コンビが提供しているが、まあこれはいわば“お試し”のようなもので、この時期は過渡期といえるかもしれない。

この次の『初恋草紙』(1977.01.21)から、いよいよ本格的に彼女の新しいステージ、横須賀ツッパリ娘路線が始まるのだ。

作曲の佐瀬寿一は、この前のリリースである『パールカラーにゆれて』(1976.09.21)も手がけている。それまでは、自ら出演するドラマの主題歌にもなった松崎しげるの『ワンダフル・モーメント』や、今も続く人気番組『笑点』からうまれた子役あがりの4人組・ずうとるびの『みかん色の恋』などを手がけていた。そして、最大のヒット曲は『およげ!たいやきくん』である。

皮肉にも、その『およげ!たいやきくん』大ヒットのあおりで、山口百恵は『白い約束』(1975.12.21)のオリコン1位が達成できなかったのだが、まあこの時期の歌手は、ピンク・レディーと『およげ!たいやきくん』で、大なり小なり割りを食っているのではないだろうか。

『赤い衝撃』(1976.11.21)

赤い衝撃
赤い衝撃/走れ風と共に
作詞者 千家和也
作曲・編曲者 佐瀬寿一(編曲:馬飼野康二)
CBS・ソニー

『赤い衝撃』は大映ドラマのひとつだが、初めて宇津井健抜きで作られた彼女の主演作である。だからこの主題歌は彼女にとっても印象深いはずである。

ストーリーは、ほのかな愛が芽生えはじめていた女子陸上界期待のスプリンター(山口百恵)と青年刑事(三浦友和)だったが、刑事の狙撃犯を狙った銃弾で山口百恵演じるスプリンターが下半身不随になる。最高視聴率32.6%を記録し、モモトモは宇津井健ドラマからの独り立ちに成功した。

もうひとつ、この作品が彼女にとって忘れられないであろうという理由がある。

山口百恵が、三浦友和に対して異性として惹かれたのは、『赤い疑惑』かこの作品の頃ではないかと言われている。

晴海埠頭のロケーションで、山口百恵が三浦友和の胸に顔を埋めるシーンがあったが、山口百恵はその時、厚手のセーターを通して友和の鼓動を聞きながら、「この鼓動を特別の意識を持って聞くことのできる女性に……私がなれたら」(『蒼い時』)と述懐している。

「厚手のセーター」を着たドラマは、秋クールの作品と推理できる。

すでにこの頃は助演クラスの俳優にのし上がってきた三浦友和だが、4年前は、やはり“サントリー金9”枠で放送されていた『シークレット部隊』で、宇津井健がキャップを演じた保険調査機関の見習い調査員役を演じていた。

三浦友和の俳優人生もまた、山口百恵の『顔で笑って』同様、駆け出し時代は宇津井健のドラマにレギュラー出演して経験を積んだのだ。

その意味では、山口百恵と三浦友和の媒酌人は宇津井健以外にはあり得なかったのである。

蒼い時 文庫編集部 (集英社文庫 126-A)

蒼い時 文庫編集部 (集英社文庫 126-A)

  • 作者: 山口 百恵
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1981/04/20
  • メディア: 文庫

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