『日本一の色男』から「日本一シリーズ」が始まった

『日本一の色男』は、植木等主演で10本作られた「日本一シリーズ」第1弾である。色男というタイトルの通り、女性にモテることと仕事で結果を出すことを両立させていくが、万々歳のハッピーエンドではなく、想う女性とは結ばれない結末である。

今回ほどホロ苦くはないが、最後で成功を逃すパターンは、後の「日本一シリーズ」にもある。

バリバリ仕事をして、ヒロインの心をつかみ仕事も成功。ヒロインともゴールインするが、結婚してみたら尻に敷かれて終わりよければすべてよしとはいかなかった、という結末は『日本一のゴマすり男』や『日本一のゴリガン男』他などでも使われた展開である。

あらすじ(ネタバレ御免)

日本一の色男

女子高の卒業式。突然、バカ踊りをしながら「無責任経」を歌い踊り始めるのが教師・光等(植木等)。教頭(佐田豊)の「不謹慎な」という注意にも、「卒業式に、何も泣いて別れることもないでしょう」と意に介さない光。校長(清水元)にクビを宣告され、学校をさっそうと飛び出すと女子高生たちが追いかけてくるところから物語が始まる。

そう。今回の◯等は「光」だ。光源氏からとったのだろう。マニアの評価が高い冒頭シーンだが、いかにも古澤憲吾監督の世界だなあと思う。

たぶん、坪島孝監督だと、同じシーンを撮るのでも、たとえば卒業式を苦痛に感じている光の表情を見せるとか、もう少し丁寧なディテールがあったと思う。

が、逆にそれをやっちゃうと他のありふれた映画とかわらないという見方もあるだろうし、ナンセンス徹底路線か、ディテール重視か、そのへんは見る者の価値観の問題だと思う。

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さて、光はローズ化粧品のセールスレディ募集の会場にもぐりこみ、会社の役員のふりをして女子社員(久里千春)を欺き、応募者に化粧品を売ってしまう。

そして、今度は自らがセールスマンに応募。社長・野田(田崎潤)に「正式な手続きを経ないで採用するわけにはいかん」、営業部長・浦和(人見明)からは「今回は女性しか採らない」と断られると、自分が応募者相手に10万6000円売り上げたことを示して採用される。

採用された光は、早速セールスNo.1の金山丸子(団令子)に喰い下ってお得意を紹介しろと頼む。丸子は自分が手に負えない、女政治家の権田原コチ(京塚昌子)を紹介。丸子と夕飯を賭ける。

光は新聞記者と名乗ってコチとの対面に成功。うまくその気にさせてコチに化粧を施し柔和な顔にして5万円を売り上げ。夫の裕福(ハナ肇)も思わず別人と間違えてしまう。

この調子で、光は、丸子も含めて5人の女性たちの心をわしづかみにしていくのだが、関連資料では、あくまで光にとりこになったのはその5人で、その中に京塚昌子の名前はない。

本当はコチも入るべきストーリーという気もするが、まあそうしたら、作品の質も変わってしまうし、後の『肝っ玉母さん』のキャラクターはできなかったかもしれない。

それはともかく、今度は「女性は卒業した」と思っていたコチが、夫・裕福に太っ腹にも愛人を薦めたとされる芸者雪桜(草笛光子)のところに赴く。

雪桜がライバル社の製品を使っていると事前に聞いていたので、他社の名前をかたって入り込むのはお決まりのパターン。もちろん、C調の口車で商品を売ってしまう。

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次に、翌日は雪桜の張り合っているバーのマダム春子(白川由美)の店に行き、やりとりのアヤで、彼女の本当のパトロン、大東生命・高取社長(由利徹)を調べているかのように見せかけて注意を引き、行き掛けの駄賃にホステスたちに売りつけた化粧品代も支払わせた。

そして、高取が愛人にしている新星チャームスクールの生徒・ナオミ(浜美枝)に近づくために、スクールに講師の名を語って入り込み、副校長・小俣(谷啓)を騙して授業を始める。それは校長・日暮道江(淡路恵子)が見破ったためにいったんは退散。

しかし、チャームスクールが“おいしい”と睨んだ光は、新築する大東生命ビルの一部をチャームスクールにして自分の化粧品売る契約をし、道江を校長に、ナオミを副校長にと勧める。道江に文句はない。ナオミも大喜びだ。

そして、光は化粧品のコミッション85万円、チャームスクールの契約で315万円、道江のお礼100万円で合計500万円を稼ぐ。

道江に誘われた光は、「まとめて面倒見るよ」と雪桜、春子、ナオミら、光に参っている連中を集めて「ぼくには婚約者がいて、奇病にかかった彼女がアメリカで手術をウケさせて今日帰国します。借金も返せました。では皆さんご機嫌よう”と説明。部屋を飛び出し婚約者・トシ子を迎えに空港に向かった。

ところが、空港まで追いかける5人の前で、現れたトシ子には寄り添う外国人が。トシ子は執刀医と結ばれてしまったのだ。

無責任男とは逆に最後でオチ

当初の案では、光とトシ子が結ばれる展開だったらしい。

無責任男の場合、実はその都度逆境に陥っており、それを跳ね返すために「非常識」なパワーとふるまいを必要としたから納得ができた。

日本一シリーズは有言実行でグイグイ順調に自己実現していく展開だから、逆に最後でずっこけることで、ちょうどいいところではないだろうか。

5人の女性陣。白川由美以外は、シリーズに複数出演しているが、数多くヒロイン役をつとめたのは、いちばん若くかった浜美枝だ。名のある女優に囲まれた本作で、むしろ彼女の伸びしろを感じた。

ツンデレでスタイルもよくて活発。クレージー映画の明るく楽しい作風にヒロインとして作品とともに育っていったという印象がある。

余談だが、この作品を収録した『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジンVol.6』(講談社)には、「イカした昭和考現学」として、化粧品つながりで、化粧品ポスターの変遷を見開きページで掲載。小野みゆきや山口小夜子、麻生祐未、服部真湖(まこ)らのポスターが紹介されている。

当時、服部まこの網目の粗い水着に「もしや、見えるのかな」と目を凝らしたが、服部まこはテレビ番組で否定していた。しかし、今見ると、葉の後ろに立っている服部まこは下も履いてないではないか!

夏目雅子も、後になってから当時のトップレスの写真も公開されているし、イメージキャラクターも大変だなあと思った次第だ。

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