『金曜日の妻たちへ』(1983年)は、3組の夫婦と数人の独身男女の関わりを通じて、変貌する「核家族」の関係性と問題を描いたヒット作

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『金曜日の妻たちへ』(1983年)は、3組の夫婦と数人の独身男女の関わりを通じて、変貌する「核家族」の関係性と問題を描いたヒット作

『金曜日の妻たちへ』(1983年)は、3組の夫婦と数人の独身男女の関わりを通じて、変貌する「核家族」の関係性と問題を描いたヒット作です。鎌田敏夫さんが脚本で、「不倫」という言葉を知らしめた作品ですが、そうせずにはおれない切なさが随所ににじみ出ています。

ツタヤディスカスという、旧作のDVDを宅配で月8本までレンタルできるサービスに10年ぶりに復活加入しました。

そして、1983年~1985年にかけて、TBS系の「金曜ドラマ」枠で放送された、大ヒットテレビドラマシリーズ『金曜日の妻たちへ』を少しずつ借りています。

本作はそれぞれ別々の設定で3シリーズあり、22時台のドラマでありながら最高視聴率23.8%を記録したのは3作目ですが、それは1作目、2作目があってこその成功で、私はやはり1作目のイメージが強いので、1作目から借りています。

放送当時学生だった私は、子供の頃からすでにあった、よろめきドラマの現代版だろう、ぐらいに当時学生だった私は思っていました。

が、実際に視聴すると、人間の無意識の業として、そうせずにはいられない経過が泣けてくるほど切なく描かれていることが再放送になってから理解できるようになり、2026年の今見ても全く色褪せない名作であることを改めて確認しました。

余談ですが、このシリーズが制作されている頃、私も劇団のあっせんで、TBSの緑山スタジオで撮影する別のドラマ(花王愛の劇場)に、よばれることがあったのですが、いしだあゆみさんなどがお付きの人に囲まれて化粧室におられましたね。

そんな経験もあるので、懐かしさもあります。

真の主役は小川知子だった


東京郊外のニュータウン(テラスハウスと一戸建て)に住む中原宏(古谷一行)・久子(いしだあゆみ)夫妻とは、10年来家族ぐるみで付き合いのある村越隆正(竜雷太)・英子(小川知子)夫妻、田村東彦(泉谷しげる)・真弓(佐藤友美)夫妻が物語の中心です。

いしだあゆみと小川知子が短大の同級生、古谷夫妻と泉谷夫妻は、古谷夫妻が以前住んでいた団地時代の友人という設定です。

モチーフは、夫婦同士の友情。

何かというと、中原夫妻の家に2夫婦がやってきて、飲んだり食べたりしながら語らい、ときにはお互いの困ったことを打ち明けて助け合っています。

そのひとつとして、村越夫妻の離婚と隆正の再婚(相手は石田えり)があり、それがきっかけで、古谷一行と小川知子が1度だけ男女の関係になってしまうのですが、それを乗り越えて、古谷夫妻も、3組の夫婦の友情も続くという話です。

といっても、小川知子だけは古谷一行への思いを断ち切るためにさびしく外国に行ってしまうんですけどね。

ト書きが少ないからこその役者の名演技


不倫ドラマといわれた通称「金妻」こと『金曜日の妻たちへ』について、脚本の鎌田敏夫さんは自著でこう述べています。

ドラマを観て泣いたと、よく言われました。

 このドラマには、悲しいシーンも可哀そうな設定も一切ありません。それなのに、なぜ泣けるのか。このドラマは、登場人物のすることを、一切断罪していません。人間がすることには、すべて、そうしなければいけない理由がある。それがぶっつかる、どうすることもできない切なさを描いたから、視聴者が泣いてくれたのです。

「不倫」、そんな言葉から出発してしまえば、そこにある男と女の切なさをすべて見逃してしまうことになります。倫理、そんなものは現実に任せておけばいいのです。

 脚本家に必要なのは、現実に埋没してしまわない強靭な精神です。(『来て!見て!感じて!』海竜社)

ドラマの小川知子は教育ママで、主婦としても「型通り」のことをきちんとこなす優等生でした。

竜雷太は、そんな彼女に「息がつまった」からと離婚しました。

しかし、古谷一行を前にして、別れたくないけどいけないことだから別れようと逡巡している彼女の後ろ姿を垣間見た竜雷太は、自分の14年の結婚生活では見せたことがなかった彼女の激しさ、そして女性としての美しさをそこに見て、実は彼女こそ、そんな「型通り」の生き方に息がつまっていたのではないかと気づくシーンがあるのですが、その時の竜雷太の狼狽する表情もすばらしい演技でした。

本作の脚本も読みましたが、いわゆる「ト書き」がほとんどなくて、セリフしか書かれていないのです。

つまり、役者が自分で考えて演じなければならないのですが、小川知子も、古谷一行も、いしだあゆみも、竜雷太も、ちゃんと芝居を作っていたのは素晴らしかったです。

私は若い頃、あるシナリオ学校に入っていたことがあり、その時はもう、ト書きの大切さというのを徹底的に教えられたのですが、このドラマを見ていると、ト書きがないからこそ、役者は役作りした自分で存分に芝居をできるんだなと思いました。

そういうシーンを見ると、不倫けしからん? いやそんなことどうでもいいよ、という気になっちゃうんてす。

本来ならそういうドラマだと、私はマジで感情移入してしまい、「不倫、けしからん!」と胸糞悪くなるのが常なのですが(笑)、この物語に限っては、全くそんな気が起こりませんでした。

そんな気持ちを後景に退けてしまうほどしびれるドラマなんです。

そうした、自分自身の人生感や哲学すらもひっくり返してしまうほど、ご自身にとって衝撃的だったドラマはありますか。

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来て!見て!感じて! - 鎌田 敏夫
来て!見て!感じて! – 鎌田 敏夫

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