松原智恵子といえば、日活時代の映画、そしてホームドラマ全盛の1970~80年代に大活躍。最近でも『死に花』(2004年、「死に花」製作委員会/東映)でトップレスシーンを見せるなど健在である。その松原智恵子の33歳当時のインタビューが、『東京スポーツ』(2016年2月23日付)に再録されている。(上画像はGoogle検索画面より)
同紙は、松原智恵子について、冒頭から「吉永小百合、和泉泉雅子とともに「日活三人娘」と呼ばれ、1960年代の日活全盛期に清純派スターとして絶大な人気を誇った」と紹介している。
名古屋出身の裕福な家庭に育ち、明治大学を出たお嬢さんだが、当時若者から支持を受けていた日活に入社した。
日活時代から、テレビ映画(フィルム撮影のドラマ)にも出演していたが、日活がポルノ路線になってテレビに本格的に進出後は、ホームドラマ全盛の70~80年代に活躍した。
印象深いのは、『時間ですよ』IIとIII(1971年7月21日~1972年3月15日、1973年2月14日~1973年9月5日、TBS)に出演した若奥さん・芙美役である。
第1部の大空真弓が演じた役を引き継いだものだった。
松乃湯の夫妻(森光子、船越英二)の一人息子(松山英太郎)の妻である。
一人息子は、銭湯という事業にも魅力を感じていないし、両親との同居にも乗り気ではなかったが、妻の芙美は、義母のまつ(森光子)との関係が良好で、銭湯の手伝いもするし、別居の話もその都度潰していた。
嫁と姑は争うものだという世間の常識からすると、それだけでも夢の様なストーリーのドラマである。
『東京スポーツ』(2016年2月23日付)で再録されているインタビューでは、松原智恵子は33歳である。
出演作である、『たんばぽ』と『敵か?味方か?3対3』の話をしている。
テレビドラマについては、「メロドラマのヒロインっていうのは、自分でもやりやすいし得意なほうね」とコメントしているが、どちらもホームドラマ、とくに『敵か?味方か?3対3』はコメディータッチである。
『たんばぽ』は、全5シリーズに渡って放送された、日本テレビの看板ドラマであった。
主演は宇津井健。親を亡くし、弟や妹たちと力を合わせて暮らしているという話である。
その『たんばぽ』第5シリーズで、松原智恵子は夫と別居中の1児の母親の役を演じた。
子供を育てるためにパーティ㌻一のコンパニオンの仕事をしている役で、松原智恵子は、「悲劇のヒロインなんだけど、力強く生きていく女性っていうね、女の芯の強さっていうか、そういうの好きです」とコメントしている。
一方、『敵か?味方か?3対3』(1978年5月25日~7月6日、テレビ朝日)は、脚本松木ひろし、大坂志郎や森光子が出演と、松原智恵子にとっては慣れた人たちとのドラマであった。
「大坂志郎さんと息子3人の男性家族と、森光子さんと娘3人の家族が行き来していろんな出来事があってというお話なの。私は3人姉妹の長女なんですけど、コメディータッチで、ちょっと面白いドラマになると思うわ」と答えている。
さらに、その年には、「テレビが忙しくて」といいながら、『トラック野郎 天下御免』と『新仁義なき戦い 組長最後の日』(ともに東映)にも出演しているのだから、大活躍と言っていいだろう。
夫と最近の仕事の話
ところで、『敵か?味方か?3対3』のところで、松木ひろしの脚本と、大坂志郎との共演を「慣れた人」と述べたが、それは、かつて松原智恵子が大きくブレイクしたドラマ『あいつと私』(1967年、日活/日本テレビ)の脚本家と主演だからである。
原作は石坂洋次郎。石原裕次郎主演で映画の作られている。
映画版は、悲劇と若さが内在した日活らしい青春群像劇だが、ドラマ版は、もう少しホームドラマのテイストで作られている。
大家族の娘と、家は金持ちだけど孤独な男が、好きだけど好きと言わない意地っ張りカップルの話である。
相手の男は川口恒で、松原智恵子は大坂志郎の長女役だった。
ところで、松原智恵子は結婚後の私生活を明らかにせず、wikiにも一切書かれていないが、もちろん結婚しているし、39歳の時に息子を産み、今は息子は医師という。
夫は、ジャーナリストであり、母校の大学名を社名につけた編集プロ代表の黒木純一郎氏だ。
いつぞや旅番組に出た時、前田吟に、「ご主人は、旅行関係の本の仕事をされている方とか……」なんて言わせていたが、『地球の歩き方』シリーズのことだろう。
そして、冒頭に述べたように、『死に花』(2004年、「死に花」製作委員会/東映)では、老人ホームで知り合ったボーイフレンド(山崎努)と、裸で寝るシーンが2度も出てくる。
こういっては何だが、こんなに歳をとってからもトップレスになるのか、とびっくりしたが、松原智恵子は、それだけ本格派の女優なのである。
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