『加山雄三のブラックジャック』に賛否両論、あなたはどちら派?

『加山雄三のブラックジャック』に賛否両論、あなたはどちら派?
『加山雄三のブラックジャック』(1981年、松竹/テレビ朝日)を覚えているだろうか。テレビ朝日の夜10時枠が帯化される前のドラマである。以前DVD化されたり、CSで放送されたりした際、多くの個人ブログでは賛否両論のレビュー記事が書かれた。

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まあどちらかというと「否」が多く、原作のイメージを崩した加山雄三の「コスプレ」ドラマだというのだが、酷評もアンポピュラリティー、すなわち人々の関心が高いことにほかならない。

『ブラックジャック』は、言わずと知れた手塚治虫のマンガである。

放送当時も、原作を愚弄するという「手塚治虫原理主義者」の批判もあったが、中にはドラマを観もしないで、主演が加山雄三だから、というだけで失望している人もいるかもしれない。

しかし、加山雄三だから面白かったということもあるのではないだろうか。

加山雄三だから面白かった

たんに、ムードやメークで、より原作イメージに近づけるなら、他にも役者はいたのかもしれない。

しかし、そこをあえて、「若大将」でひと時代築いた加山雄三を起用することに、意味や意義を見いだすこともできるはずだ。

ちなみに、ナレーションは、若大将を勝手にライバルと思い込んでいた青大将を演じた田中邦衛である。

原作は、当時すでに「過去の人」になりつつあった手塚治虫が、最後の勝負として、劇画ブームに対抗するためにあえてヒューマニズムを封印した経緯がある。

ということは、ヒューマニズムを加えた翻案によって、原作マンガでは描ききれなかった、ブラックジャックというキャラクターの奥行きをもたせることができるわけである。

たとえば、ブラックジャックは法外な医療報酬をとる。

どんな難病でも治すが、表舞台には立たず、たとえ貧乏人相手でもいっさい妥協しない。

原作では、たま~に、「勉強した金額」になることがあったが、あくまで“気まぐれ”としてしか描かれなかった。

しかし、もしそこに意味があるとしたらどうだろう。

ドラマでは、「命の大切さを教えるために法外な報酬にしている」とブラックジャックは明言。

したがって、命の大切さがあらかじめわかっている人に対しては、「無料」(第11回のジャネット八田)、寿司4人前(第3回の村野武範)と、法外とは対極にある対応をしている。

また、ドラマでは、ブラックジャックは神武画廊という画商のオーナー・坂東次郎の「もうひとつの顔」で、対外的に坂東次郎はブラックジャックの代理人という設定である。

坂東次郎は、もちろん顔の傷もなく、「普通の加山雄三」である。

ドラマに否定的な人々は、それをもって、ブラックジャックは加山雄三のコスプレドラマになったとする。

だが、これはブラックジャックをブラックジャックと知らずに関わる、倉持警部(藤岡琢也)や画廊の店番・レイコ(秋吉久美子)らとのやりとりによって、正義の味方が、普段は昼行灯であるという、必殺シリーズの中村主水のような描き方をしたかったのではないだろうか。

アウトサイダーなだけのブラックジャックではなく、若大将的ヒューマニズムにあふれた画廊経営者・坂東次郎の隠れたもう一つの顔という描き方に対する評価は、好き嫌いの問題はともかくとして、それはそれで筋が通っていると思う。

もとより、原作とは名ばかりの、大胆な翻案が行われた映画やテレビドラマなどはこれまでにもいくつもある。

『加山雄三のブラックジャック』だけを目の敵にすることもないだろう。

いずれにしても、改めて鑑賞すると、昭和のドラマらしい独自の味わいがある。

もちろん、それは21世紀の現在だからわかったことかもしれないが。

だからこそ、当時は批判的だった人でも、この『加山雄三のブラックジャック』DVD-BOXの鑑賞はお勧めである。

第8話の、血友病を扱った回以外の話が収録されている。

ネタバレ御免のあらすじ

収録全12話のあらすじを書く。

かいつまんだ書き方なので名前はほとんど出てこないが、ブラックジャックの執事・遠藤(松村達雄)や、画廊の店員・ケイコ(秋吉久美子)の役割も重要である。

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かりそめの愛を(第1話)

倉持警部(藤岡琢也)が盲腸で入院していた病院に、余命幾ばくもないといわれていたミチル(池上季実子)も入院していた。

元恋人の久夫も自分の元を去り、ミチルはせめて、ウソでもいいから花嫁衣装を着て結婚式を挙げたいと考えた。

父親(岡田英次)は、間違えて部屋に入ってきた坂東次郎(加山雄三)に頼んで結婚式を行う。

それを機に、ブラックジャックはミチル(池上季実子)の病気を治す。

春一番(第2話)

テニスコートで、コーチの強打した球を顔面に受けた千秋(五十嵐めぐみ)。眼球破裂で視神経が全て切断された。

親友である神武画廊の店員・ケイコ(秋吉久美子)の頼みで、ブラックジャックは角膜移植手術を行い、千秋は視力を取り戻す。

しかし、視界にはいつも同じ顔の若い男の姿が横切る。千秋はいつしか、その男性に恋心を抱くが、男性は、眼球提供者を殺害した人物だった。

ふたつの愛(第3話)

ダンプ運転手・明(高岡健二)が、寿司職人の拓次(村野武範)をハネ、拓次は両腕を切断した。

タクは自分に代わって寿司を握るよう要求。一人前になったアキラだったが、交通事故に遭い即死。

明の恋人・リツコ(吉沢京子)は、ブラックジャックに、明の両腕を拓次に移植することを申し出る。

えらばれたマスク(第4話)

香港から来日した剛助(山内明)は、ブラックジャックの父親なのだと倉持警部(藤岡琢也)に打ち明ける。

しかし、剛助はかつて、ブラックジャックとその母親・康子(日色ともゑ)を捨てた過去がある。

剛助は、皮膚がんの後遺症で顔がボロボロになった現在の妻・蓮花の顔を整形し、世界一の美女にしてくれ、という。

ブラックジャックは、蓮花の顔を康子の顔にした。

魔王大尉(第5話)

坂東次郎のもとに、南アジア連邦の子供たちが大勢訪れる。その中のアン(森田理恵)は、グチャン村を大虐殺した指揮者・ケネス大尉(ジェリー伊藤)の手術をするなという。

ケネス大尉はブラックジャックに、頭部に撃ち込まれた弾丸摘出手術を求めてきた。

ブラックジャックは、わざわざアン(森田理恵)たちを手術に立ち合わせ献血までさせた。

それは、どんな人間でも、人の命は尊いことをわかってもらうためだった。

復讐こそわが命(第6話)

伊豆の伊東でペンション城ヶ崎を経営する浦島一家。ブラックジャガーが政府高官を抹殺するために仕込んだ、爆弾入りカバンを浦島(宗方勝己)が持ち帰ってしまい爆発する。

ブラックジャックは、3人の使える部位を移植して妻(音無美紀子)の命を救うものの、妻(音無美紀子)はブラックジャックを爆弾犯と誤解した。

ブラックジャックの執事・遠藤(松村達雄)は、それが誤解であるとともに、なぜ必死になって妻を助けたのか、ブラックジャックの壮絶な秘密を打ち明ける。

ブラックジャックの壮絶な秘密を打ち明ける

B・J(ブラックジャック)入院す(第7話)

ブラックジャックは、ピノコのバレンタインデーの買い物に付き合うが、突然やってきた車にハネられる。

暗殺された某国大統領の首のすげかえ手術を行ったブラックジャックは、口封じで暗殺団に命を狙われているのだ。

運び込まれた病院の院長・健二郎(橋本功)も外科医としては名が知られているが、コンプレックスからブラックジャックをののしる。しかし、自尊心からブラックジャックを救う。

だが、暗殺団は、入院しているブラックジャックも狙い、間違って標的にされた健二郎(橋本功)が撃たれる。

ブラックジャックは、自然気胸の患者の処置を誤って死なせてしまった、健二郎の妹の女医・恭子(結城しのぶ)に術式を指示した。

助けあい(第9話)

坂東次郎は、懇意にしている倉持警部(藤岡琢也)に逮捕される。殺人事件の容疑だった。

そのときは、公園でお互い酔っ払って陽気な夜を過ごした中年男・蟻谷(前田吟)が証人になって釈放される。

蟻谷(前田吟)は、会社の汚職事件の責任を押し付けられ遺書を書かされ、電車にはねられた。

ブラックジャックは、今度は自分が助ける番として、命を救うだけでなく、将来を考えた手術も行った。

灰色の館(第10話)

菊岡不二子(ジャネット八田)は、坂東次郎に、ユトリロの名画の代金で兄の手術代にしたいと申し出た。

「兄」は、全身やけどで声帯も失われていた。

ブラックジャックは例によって「兄」を生還させるが、倉持警部(藤岡琢也)の話から考えて、「兄」は夫であることが判明した。

浮気を責められて思わず花瓶で夫を殴り、亡くなったと思ったので焼却しようとしたら生き返ったのだ。

夫は生還し、妻への復讐に向かった。

詳細は、DVDでご覧頂きたい。

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