今日は森川正太さん(1953年6月25日~2020年10月12日)の命日になります。『おれは男だ! 』『飛び出せ!青春』『俺たちの旅』『俺たちの朝』などの1970年代の青春(学園)ドラマの常連でした。子役時代の苦労から、売れてからも決して嫉妬やいじめをしませんでした。
森川正太さんは東京出身。
『おれは男だ!』『飛び出せ!青春』『俺たちの旅』『俺たちの朝』などの1970年代の青春(学園)ドラマの常連としておなじみです。
とくに、日曜午後8時の枠で、日本テレビが大河ドラマと互角に戦った青春学園ドラマ『おれは男だ!』『飛び出せ!青春』『俺たちの旅』などの視聴層である、現在の50代以降の世代なら、その活躍ぶりは記憶に残っていることでしょう。
小学5年生の時に劇団こまどりに入団し、子役として活動を始めました。
小学校の頃から劇団に入っていた子役で、番組のオーディションに次々参加していました。
日大豊山高校時代には、いろいろな仕事が入るようになり中退。
その頃は、沖正夫という芸名でしたが、沖雅也さんが売れ出したため、喜劇役者として憧れていた森川信さんから姓をもらい「森川正太」と改名しました。
21世紀に入ってからは、映画やドラマにほとんど出演しなくなったので、ネットでも消息を心配されていましたが、結婚式の司会や飲食店の店長を務め、2015年には自身の劇団「劇団ケ・セラ・セラ」を結成していました。
しかし、2020年8月に胃がんが発見され、同年10月12日に67歳で亡くなりました。
誰に対しても決して偉ぶらない
私は、森川正太さんと35年前に、仕事をしたことがあります。
神保町の編集制作会社で、ある雑誌の企画特集記事を制作した際に、ご協力いただきました。
相撲好きの著名人に好きな力士をアンケート調査する企画があったのですが、森川正太さん自身が相撲好きなので話を伺ったのと、顔の広い森川正太さんに他の相撲好き著名人を紹介していただいたのです。
森川正太さんについては、共演者は口を揃えて、「周囲の人たちみんなを気持ちよくさせ、場を盛り上げる方」と語っていましたが、そのとおりの方でした。
青春(学園)ドラマの常連で、顔が売れているからと言って、決して偉ぶることもありません。
最初、何を話したらいいのかと私が迷っている時、森川さんの方から「おいくつですか」と聞いてくれたので、答えたら、「いいなあ、若くて。ぼく35なんですよ」なんて答えてました。
それで、緊張がほぐれて、私の方も、「でも色々仕事されてていいじゃないですか。俺たちの旅とか、飛び出せ青春とか。見てましたよ」と、話せるようになった記憶があります。
私は、芸能人は随分取材もさせていただいたし、劇団にいた頃は、撮影所で話し相手にされていた(先方も暇つぶしの雑談)のですが、まあ、話しやすいという点では、森川正太さんが一番でしたね。
いじめられっ子の元子役
森川正太著『売れない役者ーあなたの知らない芸能界サバイバル』(はまの出版)を、以前ご紹介したことがあります。
売れない役者―あなたの知らない芸能界サバイバル – 森川 正太
内容は、日記形式で日々を綴っていますが、「主役級でない役者はどうやって暮らしているのか」という話です。
役者の仕事が無い時には、アルバイトで糊口をしのいでいたと書かれています。
1970年代は、あれだけ青春ドラマに出まくっていたのに、役者だけでは食えなかったというのは驚きです。
ワイドショーや週刊誌の「豪邸拝見」で出てくるのは、ほんの一握りのスターだけなのです。
しかも、役者の仕事だっていつ入るかわからないので、アルバイトも長く務めることは出来なかったとか。
『売れない役者』を上梓した頃は、結婚式の司会が主たる副業だったそうです。
旧森川正太公式サイトより
もうひとつ、本書の興味深い件は、子役時代です。
児童劇団出身で、まだ映画がたくさん制作されていた頃だったので、映画、ドラマ、舞台と、子役の需要は多かったのですが、その都度オーディションがあり、当時子役仲間で、とにかく巧かったのが渡辺篤史だったそうです。
『渡辺篤史の建もの探訪』の人ですね。
でも森川正太も、子役時代からテレビに出演しており、高校に途中からいけなくなるほどでしたから、売れっ子だったわけです。
となると、他の子役からの嫉妬⇒いじめという、人間社会のお定まりの「洗礼」を受けます。
たとえば、ラーメンを食べると、麺の下にゴキブリを仕込まれていたとか……。
まあ、詳細は本書を読んでいただくとして、かなり壮絶な経験があったようです。
これは、『徹子の部屋』に出演した時にも話していました。
で、そういういじめを受けると、今度は自分が後輩に同じことをする人がいるのですが、森川正太の立派なところは、それをしなかったことです。
壮絶なイジメを受けたが、そんなものは自分で終わりにしたいとして、森川正太は、後輩だろうが年下だろうが、別け隔てなく相手を尊重して付き合い、人と人との絆を大きくすることに、自分の使命のようなものを見出したようです。
それが、私にも威張らない「周囲の人たちみんなを気持ちよくさせ、場を盛り上げる方」につながっているのだと思います。
私は他者に不寛容な人間なので、森川さんのように優しくはありませんが、でも、年下の人に対しても、呼び捨てとか、「〇〇くん」ではなくて、「〇〇さん」と呼んでいるんですよ。
嫉妬で陰口や嫌がらせなんて、生理的に苦手だし。何しろ不寛容だから、無神経に人を傷つけるやつとか許せなくて(笑)
森川正太さん、覚えてますか。
売れない役者: あなたの知らない芸能界サバイバル – 森川 正太
俺たちの朝 DVD-BOX II/勝野洋,小倉一郎,長谷直美,秋野太作
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