山口百恵は今もFacebookの投稿などで話題になる。トップランクにあるうちに寿引退したが、女優としても多数の作品を残した

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山口百恵は今もFacebookの投稿などで話題になる。トップランクにあるうちに寿引退したが、女優としても多数の作品を残した

『花の高2トリオ・初恋時代』など、山口百恵はトップランクにあるうちに寿引退したが、女優としても多数の作品を残した。『伊豆の踊子』『潮騒』『絶唱』『エデンの海』『風立ちぬ』『春琴抄』『花の高2トリオ・初恋時代』『古都』などの主演作もある。

では今、その中で何がもう一度見たいかというと、やはり私は非文芸映画の『花の高2トリオ・初恋時代』(1975年)を挙げたい。

松竹が難色を示した文芸路線

山口百恵といえば、レコードのセールスがピンク・レディー、森進一についで3番目に多く、何よりトップランクにあるうちに寿引退した、芸能史上、記録にも記憶にも残る歌手である。

そんな彼女も、「花の中三トリオ」として売りだされた頃は、森昌子や桜田淳子の後塵を拝していた。

そこで、ホリ・プロダクションの総帥・堀威夫さんは、彼女にアイドルの登竜門である文芸映画のヒロインを企画した。

原作が文学的なお墨付きを得ている国民的映画なら、大きな失敗なく出演作品が実績になると考えたのである。

しかし、森昌子にも桜田淳子にも水を開けられた当時の山口百恵では、「一本立ちの映画企画は成立し難い」状態だったと、堀威夫さんは自著『いつだって青春ーホリプロとともに30年』(東経)で書いている。

堀威夫さんは、あらかじめホリ・プロタレント総出演作品の企画書も用意して、山口百恵の『伊豆の踊子』と2本立てで持ち込んだが、それでも持ち込み先の松竹は難色を示したそうである。

松竹に持ち込んだということは、やはり格調高い小津安二郎的作品を望んだのだろう。

しかし、やっと企画を受け入れてくれたのは東宝(当時の松岡功営業本部長)だった。

『クレージー』『社長』『駅前』『若大将』など、60年代黄金期を支えたシリーズが次々終了した東宝としては、なにか柱が欲しかったのだろう。

もっとも、松竹が袖にして東宝が受け入れたことは、結果的にホリ・プロ、山口百恵側に幸いした。

同社の75年の正月映画『エスパイ』の併映作が事情で飛んでしまったため、なんと『伊豆の踊子』が正月映画に繰り込まれることになったと堀威夫さんは同書で述懐している。

正月映画は、映画館にとってもっとも興行収入が見込めるときである。

各社とも会社の象徴ともいえるような看板作品を、お金をかけ、メンツも賭けて用意する。

山口百恵の文芸映画路線は、何も実績のないまま、いきなり東宝の看板作品としてのポジションを獲得してしまったのである。

スターになる人は、そういう幸運が必ずある。「ほしのもと」なんだなあと私はつくづく思う。

ちなみに、私は1975年の1月3日に、今はもうない蒲田東宝に『エスパイ』と『伊豆の踊り子』の2本立てを観に行ったことを覚えている。

当時、山口百恵は岩風呂のシーンをどうするのか、が話題になった記憶がある。

だから、まさかピンチヒッター作品であるとは思わなかった。

山口百恵のステレオタイプでない役を観たい

私はほぼ同世代だからだと思うが、とくにファンというわけでもないのに、冒頭に書いた山口百恵作品を全部観ている(笑)

ただ、正直言って、彼女は本職の役者ではないし、何より文芸路線は、当時の彼女の売り方と重なる、重くてくらい話が多かったので、わあ、ぜひまた見たい、というほどではない。

ただ、『花の高2トリオ・初恋時代』(1975年)だけは、いい機会なのでまた観ようかな、と思っている。

これは、彼女が1回文芸路線をおやすみして、「花の高2トリオ」(←「花の中三トリオ」から2年たったのでユニット名も「進級」)が主演した1975年のお盆映画である。

製作にあたっては、『スター誕生!』のチーフプロデューサーだった池田文雄(当時日本テレビ)が企画に携わり、サンミュージック提携作品だった。

東京にやって来たアカネ(桜田淳子)、アオイ(山口百恵)、ミドリ(森昌子)の3人の話ではあるが、サンミュージック提携作品だから、桜田淳子がメインである。

本作がなぜ観たいかというと、彼女がいちばん肩の力を抜いて演技している作品だからだ。

というのも、山口百恵というと、必ず「不幸のほしのもと」なのだが、私はそれがそもそも気に入らなかったのである。

片親の子弟なんて芸能界に限定してもほかにもいるし、先に述べたように、山口百恵は実は大変幸運な人なんである。

なのに、何で彼女を、そんなに「不幸な人」にしたがるのか。

デビュー曲のセールスがそれほどでもなかったことがきっかけで、歌は「青い性」路線、映画やドラマでもかわいそうな境遇の役ばかり。

もちろん、それで売れたからいいのだろうが、彼女だって森昌子や桜田淳子と同じ高校生なのだから、歳相応の娘さんの仕事があってもいいんじゃないか、と当時から私は思っていたものである。

彼女はこの時期、『夏ひらく青春』という歌を歌っているが、それまでの「青い性」路線に貫かれた、暗く重苦しい歌ではなく、彼女にしてはめずらしいアップテンポな楽曲だった。

以上、山口百恵は今もFacebookの投稿などで話題になる。トップランクにあるうちに寿引退したが、女優としても多数の作品を残した、でした。

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