『天使のくちびる』は桜田淳子12枚目のシングルである。『天使も夢みる』『天使の初恋』に続く「天使」シリーズ第三弾といえる。明るい曲調が桜田淳子の歌らしく、28.1万枚を売り上げた。オリコンも4位に到達。第6回日本歌謡大賞・放送音楽賞、第4回FNS歌謡祭優秀歌謡音楽賞などを受賞している。
日本歌謡大賞というのは今では聞かないが、桜田淳子が現役の頃は、日本レコード大賞と並んで歌手に対する大きな賞だった。日本レコード大賞を主催するTBSをのぞいた放送局8局が、「放送音楽プロデューサー連盟」を結成して持ち回りで放送した音楽祭。
日本レコード大賞にあたるのが日本歌謡大賞。最優秀歌唱賞にあたるのが最優秀放送音楽賞。歌唱賞にあたるのが放送音楽賞である。
歌唱賞がそうであるように、放送音楽賞は大賞の有力候補だった。桜田淳子の『天使のくちびる』も、評価が高かったことがわかる。ちなみに、この年の大賞は布施明の『シクラメンのかほり』だった。
打倒レコード大賞で結成されたが、各局が独自の音楽賞を制定したり、音楽市場が変化したりしたことなどから、結局1993年限りで終わってしまった。
『天使のくちびる』(1975.8.25)
天使のくちびる/叱られてから
作詞者 阿久悠
作曲・編曲者 森田公一(編曲:竜崎孝路)
ビクター音楽産業
この年の6月~9月にかけて桜田淳子は、『あこがれ共同隊』に出演している。
「東京・原宿を舞台に現代の若者たちの青春の生きざまを描く」というテーマで、郷ひろみを主役に、西城秀樹、淳子、せんだみつお、シェリー、浅田美代子ら当時の『明星』や『平凡』のグラビアページを飾っていたスターに加えて、黒柳徹子、長門裕之、三田佳子、森本レオ、大和田伸也なども出演。さらに、「花の中三トリオ」の一人である山口百恵も第1回に出演するなど話題作だった。
アイドルのオールスターとなれば、ストーリー二の次で数字が取れそうな気はする。しかし、視聴率的にはいまひとつで番組は4ヶ月で終了した。
桜田淳子も途中で出なくなってしまった。売れっ子ばかりを揃えたため、出演者のスケジュールに配慮した脚本しか書けなかったことが消化不良な展開になったといわれる。
それとともに、いずれも商品価値がデリケートなアイドルのため、キャラクターの作り方や登場人物の絡み方など、所属事務所の思惑もいろいろあり、ストーリーの作り方自体がむずかしかったのかもしれない。
「花の中三トリオ」でデビューした桜田淳子も、すでに『スプーン一杯の幸せ』で主演作品を経験しており、オールスターの顔見せのような作品にスケジュールを最優先することはできなかったのかもしれない。
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