ジャニーズ事務所の関係者を名乗る(実際はなりすまし)者が、ジャニーズタレントをカタる詐欺メールの取材を行っていたライターに脅しのメールを送り続けている。そんな物騒な話が、『東京スポーツ』(11月17日付)の最終面に出ている。「家族に危険が迫ってもいいというのでしょうか?」などという文言もあるというが、それは弁護士を100人つけても立派な脅迫であろう。
同紙はまず、事の経緯から説明している。
もともとライターは、最近問題になっていた、ジャニーズタレントを語る詐欺メールの取材を行っていた。
たしかにネットをググると、SNSなどを通じ、差出人が松本潤などをカタるメールが来るという。
中身は「タレント活動が忙しくて出会いがない」などと相談を持ちかけ、返信すると、メールアドレスの交換や出会い系サイトの利用を要求してくるというものだ。
まあ、こういうメールはもう、いろいろ手を変え品を変え送られてくる。男性に対してなら、やれ女医だの、夫が留守だの、5000万円用意しているから会ってくれだの、いろいろなストーリーがあるようだ。
ジャニーズタレントなりすまし作戦というのもその一環である。
タレント本人と信じて疑わないファン心理を悪用。有料サイトの利用料金を半永久的に支払わせるのが手口というのだ。
その手のメールは不特定多数に年中撒かれており、普通ならそんなものに騙されるわけないだろうと思うかもしれないが、ファン心理というのは複雑である。
筆者にも経験がある。
これは全くの偶然だったのだが、昔放送していたある青春ドラマを見た直後にメールを見ると、その出演者(俳優名)を名乗るアカウントでメールが送られてきた。
普通なら嘘だろうと思うのだが、ドラマを見た直後という特別な心理状態だったので、思わず名前に親しみを感じて開けようと思った。
だが、一瞬立ち止まり、その人のツイッターページにアクセスした見たところ、アカウントがパスワードを「かっぱらわれた」ので、そこからいたずらメールが不特定多数に送信されているようです、とのツイートがあった。
やはりそうだったか、とおもった。
もし、それを見ずにメールを開けていたら、ウイルスなどが仕込まれたメールか、それとも詐欺メールだったかもしれない。
ジャニーズについても、ファンが年がら年中「担」のタレントのことを考えているとき、そのタレントからメールが来たら開けて読んでしまうだろう。そして、内容に感情移入してしまうことだってあるだろう。
問題はここからである。
同紙によると、その詐欺を取材していたライターA氏に11月1日、こんなメールが届いたという。
「社長がかなり怒ってるみたい。事務所内でも結構話題に出ている。とにかく一人で怖がってても意味ないから話そうよ。どの道このままじゃ君自身がやばい」
同紙によると、ご丁寧にジャニーズ事務所の名刺を思わせる画像(実際のジャニーズの名刺とは異なる)まで添付。メールアドレスのドメインは「Johnnys」となっていたという。
つまり、ジャニーズ関係者が怒ってますよ、という演出を施したわけだ。
しかし、普通に考えれば、ジャニーズ事務所が怒るのは、むしろその詐欺メールの主の方だろう。
A氏が無視したので“スイッチが入った”のか、メールはどんどん激しさがエスカレートしたという。
翌日には「社長が動き出せば逃げ道はなくなる。社長の権力は絶対。スポンサー関係だけでかなりの損害が発生している。これ以上被害を拡大するわけにはいかない。甘く考えないでほしい。今すぐ返答を」というメールがまた届いた。その数ははや240通というから、もはや尋常ではない。
さらに別のメールアドレスから「最高権力者 KITAGAWA」の名前で「YOU! 僕が誰かわかる? さっさと返事して! どういうつもりでこんなことしたの? 僕はこういうことは許さないよ! 彼を陥れて何が目的なの? 自分の口で説明しなさい!」。まるでジャニーズ事務所ジャニー喜多川社長(82)を思わせるようなメールまで届くように。
さらには、赤西仁が休業でどれだけの損害を被っているか、という説明や、冒頭のように「今日中に返答がないなら5000万の賠償請求をさせてもらう!」「家族に危険が迫ってもいいというのでしょうか?」といった、はっきりと脅迫にあたる文言も書かれていたという。
A氏のアドレスを知っているなら、これはA氏が取材していることを知っている者が関わっている可能性がある。
ファンの仕業か、少なくとも一枚噛んでいるのかもしれない。
いずれにしても、物騒な事件である。
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