『銀座の若大将』銀座の拳闘と万座のスキーで若大将大活躍


『銀座の若大将』(1962年、東宝)が作られたのは、加山雄三主演若大将シリーズの第一作目『大学の若大将』以来1年ぶりである。後半は、観光映画のように国内外様々なロケ地を選んだ若大将シリーズだが、本作は、すき焼き処「田能久」のある銀座が舞台である。(画像は劇中より)

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銀座、といっても、今の若い世代にはむしろ古典的な街に感じるかもしれないが、1960年代前半の銀座は、首都東京のど真ん中にある、高級な商店街や、オフィスが並ぶ随一の繁華街であった。

21世紀の東京というと、新宿、渋谷、原宿、池袋、品川、恵比寿……など、山手線の各駅は再開発ですべて栄えているが、現在も銀座は、銀座四丁目交差点周辺が商業地として日本一地価の高い場所である。

そして、随一の繁華街である一方で、東端が勝鬨橋を介して佃島という下町とも結ばれている。

そういう意味では、近代的な一方で、風情のある街ともいえる。

若大将シリーズは、観光映画としての側面もあり、後に、『ハワイの若大将』(1963年)、『アルプスの若大将』(1966年) 、『南太平洋の若大将』(1967年) 、『リオの若大将』(1968年)、『ニュージーランドの若大将』(1969年)など、海外ロケを頻繁に行い、それをタイトルに入れたが、国内の地名がタイトルになった唯一の作品が、本作の『銀座の若大将』である。

当時、銀座には、タイトルにするほど憧れの外国並みの価値があったということもいえるだろう。

本作の、銀座を再現したセットは、今観ても資料的価値のあるものである。

ネタバレ御免のあらすじ

ストーリーは、前回の『大学の若大将』でも書いたとおり、毎回パターンは同じである。

『大学の若大将』(1961年、東宝)は、言わずと知れた、社長シリーズ、クレージー映画シリーズ、喜劇駅前シリーズといった東宝昭和喜劇群とともに、1960年代の東宝の屋台骨を支えた人気シリーズのひとつ「若大将シリーズ」の第一弾である。(画像は劇中より)

銀座には、若大将の家である、すき焼き店「田能久」。

田能久自体のモデルは浅草にあり、実際に浅草として設定されたこともアリスが、今回の舞台は銀座である。

今回も、若大将(加山雄三)は京南大学の学生であり音楽部員である。

普段世話になっている、新聞部の団野京子(団令子)と広告をとりに洋裁店に行ったとき、マドンナ・澄子(星由里子)と知り合う。

ところが、ファッションモデルのショーのバンドで演奏した時、モデルの北川きみ子(北あけみ)が声をかけてきたことでで恋の鞘当てが始まる。

ストーリーのもうひとつの柱であるスポーツは、拳闘(ボクシング)である。

もともと入部はしていなかったが、銀座のレストランで、拳闘部のマネージャー・江口(江原達治)が、ライバル校・城東大学の拳闘部員にカラまれていたところに出くわし、若大将は江口(江原達治)の代わりに相手をノシたことがきっかけとなり、その腕を見込まれ拳闘部への入部を頼まれるのだ。

若大将はいったんは断る。

しかし、田能久の馴染みである、顧問の石脇教授(左卜全)が、部員をつれて来て祖母・りき(飯田蝶子)に直談判したことで、りき(飯田蝶子)の要請もあり、若大将は拳闘部に助っ人参戦することになる。

しかし、父・久太郎(有島一郎)は拳闘部の入部に賛成ではない。

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若大将がケンカ騒ぎを起こした銀座のレストランの支配人・金五郎(上原謙)は、その父親の気持ちを汲んで一計を案じる。

店の賠償という口実で、若大将に住み込みで長時間レストランでのアルバイトをさせ、拳闘の練習をさせにくくしたのだ。

それは、自分の娘・信子(藤山陽子)と結婚させようという目論見もあった。

しかし、少なくともそちらの目論見は裏目に出てしまった。

若大将は、練習時間を奪われただけでなく、封建的なコック職人の世界で嫌な思いもするが、夜、住み込みの部屋でギターを弾いて歌っているところをすみちゃん(星由里子)が見て、若大将を決定的に好きになってしまうのだ。

夜、住み込みの部屋でギターを弾いて歌っている

金五郎(上原謙)は、若大将の持ち場を最初は調理場の一番下っ端にして、その仕事に慣れてくるとまた新しいセクションの接客に回した。

若大将がそこにも慣れてくると、今度は万座のホテルに派遣。次々仕事場を変えて拳闘に集中できないようにしたが、若大将はそれにもくじけず、昼は練習、夜はウェイターを両立させる。

京子(団令子)、きみ子(北あけみ)、信子(藤山陽子)らは、それぞれ若大将の様子を見に万座に向かう。

それを知った澄ちゃん(星由里子)は、人のいい青大将(田中邦衛)にうまいこと言い、ちゃっかり万座まで連れて行ってもらう。

万座といえばもちろんスキー。

若大将、というより加山雄三の得意種目だが、京子(団令子)、きみ子(北あけみ)、信子(藤山陽子)らによってまた、すみちゃん(星由里子)が焼きもちを焼くことになる。

そして、ストーリー上のクライマックスである、拳闘部の対抗試合になった。

すみちゃん(星由里子)の嫉妬が原因で、気持ちが集中できず苦戦している若大将だが、すみちゃん(星由里子)は、京子(団令子)から若大将は自分を好きだということを聞き、安心してリングサイドで声援。

それを確認して安堵した若大将は勝つ。

悪気を知らない若大将&青大将とすみちゃんの関係を考えてみると、若大将も青大将も悪気を知らないボンボンだが、すみちゃんは、独占欲が強くしたたかな女である。

若大将を取られたくなくて、青大将をアッシー君とキープ君にしているのである。

それでいて、若大将もすっかりすみちゃん(星由里子)の虜になっているのである。

銀座を舞台にした青春物語は、女性の強かさを知るものでもあった。

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD

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