『仮面ライダー1号』が話題だ。シリーズ生誕45周年記念映画で単独主演を務めるのは古希を迎えた藤岡弘、。変身ポーズと生身のアクションを収めた、迫力の予告編が公開されたと報じられた。古希を迎えたので、かつての出演作品も振り返ってみよう。
映画『仮面ライダー1号』は3月26日より全国公開。すでに予告編が東映により、Youtubeにアップされている。
初代仮面ライダーこと本郷猛は、45年前、悪の秘密結社ショッカーによって改造人間にされた。
その当時、最大の理解者だったのが、“おやっさん”こと立花藤兵衛だったが、今回登場するのはその孫娘である麻由。
70歳ながら、戦闘員相手に生身のアクションも披露するという。
そんな藤岡弘、の、俳優としてのスタートは松竹だった。
松竹のホープから仮面ライダー、そしてアクションもできる俳優へ
65年、松竹にニューフェイスで入社。
まず注目されたのは、パープルシャドウズがヒットさせた歌と同名のタイトルで封切られた『小さなスナック』(1968年、松竹)である。
歌っているパープルシャドウズも出演していますが、主演は藤岡弘と尾崎奈々だった。
2人の恋愛がストーリーの中心である。
この頃は、若さを押し出したラブストーリーの男役だった。
たとえば、『コント55号と水前寺清子の神様の恋人』(1968年、松竹)では、ヒロインの水前寺清子の相手役を務めている。
そして、映画が斜陽化し、映画俳優はテレビに移ってきたが、そこで藤岡弘が得た当たり役が、冒頭の『仮面ライダー』だった。
以来、若者のラブストーリーだけでなく、アクション俳優としての存在価値も高めた藤岡弘は、『白い牙』(1974年4月6日~9月28日、大映テレビ/日本テレビ)だった。
藤岡弘演じる有光洋介は、警視庁捜査一課のエリート刑事だったが、暗黒街のドン(河津清三郎)が仕組んだ罠にハマり、事件屋として復讐を遂げる話である。
事件屋の仲間として、かつて同じように松竹のホープだった川津祐介が出演していた。
刑事役もいろいろ演じている。
『消えた巨人軍』(1978年9月1日~9月29日、東映/日本テレビ)というドラマでは、老刑事(大坂志郎)とコンビを組み、巨人嫌いだった藤岡弘演じる左文字進が、結婚した老刑事の娘(水沢アキ)の協力も得て事件を解決。いつの間にか巨人ファンになるという、いかにも日本テレビらしい番組だった。
何より印象深いのは、『特捜最前線』(1977年4月6日~1985年10月2日、東映/テレビ朝日)の桜井哲夫刑事である。
桜井刑事が刑事として大きく成長する契機はシャムスンだった
櫻井哲夫刑事の当初の階級は「警部」。
特命課という、架空のセクションで仕事をする昭和らしい刑事ドラマである。
父親も兄も弁護士のエリート一家で、父にも兄にもコンプレックスを抱いていた哲夫は、その反発もあり、不言実行の警察官になった。
そして、事件に対しては非情に徹し、ルールやモラル違反といった免職ものの手法も厭わなかった。
そして、単独行動も多く、言い訳や説明もしないので、特命課内もその手法に理解を示しづらく、一部の同僚とは衝突もした。
そんな哲夫が、215話の『シャムスンと呼ばれた女!』で、大きな転機を迎える。
特命課に、横浜ドヤ街で10kgの覚せい剤が取引されると、地元医師(織本順吉)からのタレこみが入った。
桜井哲夫警部(藤岡弘)と紅林甚一警部補(横光克彦)は、労働者を装って横浜の裏町に潜入する。
あるバーで、覚せい剤の常習者らしき、シャムスンと呼ばれる女(風吹ジュン)を発見。
しかし、肝心の売人はどうしてもつかめなかった。
桜井刑事は、「一つだけ方法がある」と言い、特命課にもその内容を明かさず、再び横浜の裏町に潜入。
桜井刑事が採った方法は、シャムスンと同棲して探ることだった。
いくらなんでもそこまでやるか、と口論となる桜井と紅林。
紅林は、「桜井さん、あんたって人は……」と呆れる。
桜井は、自分が海外に旅立つとシャムスンに情報を流す。
そして、「一緒に行こう。その前に、覚醒剤を売りさばいて金に換えてからだ。売人を紹介してくれ」と依頼する。
シャムスンの誘導で、桜井は売人のアジトに潜入。
ただし、張り込んでいる特命課は、正確にその場所を突き止められない。
一方、特命課の張り込みに気づいた売人は、桜井が刑事であることを責め立てる。
自分が利用されていたことを知ったシャムスンは、桜井の脇腹をナイフで刺す。
が、その直後に、売人の一人が、桜井の持っていた2通のパスポートに気づく。
桜井は、シャムスンを利用するだけではなく、覚せい剤のルートを突き止めて撲滅し、シャムスンと覚せい剤の関係を絶ったうえで、自分は引責で刑事をやめ、シャムスンと2人で渡航するつもりだった。
桜井の真意を知ったシャムスンは、「あなたの仲間にこの場所を教えてあげる」と言い、ビル4階の窓からガラスをぶち破って身を投げる。
シャムスンの遺体を前に、「あんたが殺したんだ!」と、シャムスンと親しかったバーのママに罵られた桜井は、以後、『特捜最前線』の最終回まで6年間、“身勝手”で無茶な捜査をしなくなった。
つまり、桜井はシャムスンとの出会いにょって、刑事として大きく成長を遂げたことになる。
そんな熱い役を演じていたのだ。
きっと、今回の『仮面ライダー1号』も、熱い演技で私たちの期待に応えてくれることだろう。
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